現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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人形の願い。
2015-11-07 Sat 20:12

 ちょっと予定がずれるけど、今日更新ということで。

 自分の世界を書きたい蔵間マリコです。
 土曜日ですけど、明日は色々と予定があるので、本日更新しますよ~。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 前回のこのコーナーでは日曜日更新と書いていましたけど、今日アレを買いましてね。いや、別に急がなくてもいい話なんですけど、ライトノベルを書いていると頭の中がパンクすることがありまして。だから、ちょっとした息抜きかな?まあ、息抜きがやけに多いような気がしますが。
 それはともかく、そろそろ本編へと入らせてもらいます。先に言っておきますが、お世辞にも上手とは言えない内容です。それでも読んでくれると非常にありがたいです。それでは、今回もどうぞ。
         第15話 機械人形(オートマタ)は人の夢を見るのか?(3)

 ごめんなさいです、お母さん。
 アイのメンテナンスをしているのに、いなくなってしまって、ごめんなさいです。
 でも、樹里のためにも果たさないといけないことがあるのです。
 アイはマスターであり、お母さんでもある江草真来菜の目を盗み、あるところへと向かった。
 場所は、橘町の願いの叶う場所。
 あそこに行けば、樹里に生きる気力を与えてくれるかもしれない。
 彼女は、集積されたデータを下に目的地へと足早に歩く。オンラインを利用しての目的地検索をすれば、もっと楽かもしれないけれど、それだとお母さんに気付かれてしまう。
 橘山前のバス停で下りて、人通りの少ない山沿いの道を歩く。ここなら、誰とも出会うことはない。こんな危険な夜道よりも、もっと広くて安全な道を通ればいいのだから。
 しかし、アイの思惑通りにはいかなかった。
 夜道の向こう、横断歩道の前で待っている人影をアイは見つける。眼鏡をかけたとても地味な少女だ。身長はやや高め、年齢はアイと同じかもしれない。
 もしかしたら、東雲学園の生徒かもしれない。そうだとしたら、江草先生か学校に連絡させれるかもしれない。
 それでもアイは、足踏みする訳にはいかなかった。一刻も早くあの場所に行って、樹里に体も心も元気になってもらわないと。
 アイは、出来るだけ目立たないように、かつ不自然に見えないように道の端を歩いた。
 気付かれませんように、ばれませんように、神様お願いです。
 その願いは、彼女が真に願うものよりも先に叶った。
 機械人形(オートマタ)の存在に気が付かなかったのか、あるいは興味がなかったのか。眼鏡をかけた少女は、そのまま横断歩道を渡っていった。
 アイはホッと胸をなでおろし、再び歩みを速める。そして、5分も経たないうちに目的地に辿り着いた。
「やっと着いたです……」
 安心するアイだが、彼女の目的が達成するにはまだまだ時間と電力を要する。町の人たちが活動し始める朝になる前に終わらせないと。
 アイは覚悟を決めて、石段を上り始めた。
 苔むしる石段に足を掬われそうになるが、アイはそれを補正してバランスを取る。いつもより少し遅い。運動音痴だからバランスを取るのに時間がかかるけど、それ以上にメンテナンス中に抜け出してきた身。プログラムの予期せぬ事態が起きているのかもしれない。
  慎重かつ素早く一段一段上り、そして石段の頂へと辿り着いた。
 アイは石畳を踏みしめて小走りで向かう。そして、アイは願った。
「神様お願いです、樹里を元気にしてくださいです」
 そう願い終えると、アイは再び小走りして、石段を駆け下りた。
 駆け下りると、アイは振り返り、再び石段を駆け上がり、同じことを願い、駆け下りる。
 それをアイは何度も何度も繰り返した。
 それは傍目から見れば、怪訝に見える光景かもしれない。しかし、アイは本気だった。樹里のためなら、なんだってできるし、それで自分が犠牲になっても構わない。それが機械人形(オートマタ)である自身の一番の願いと喜びであるのだから。
 だが、37往復目にそれは起きた。
「きゃあっ!!」
 アイは苔で滑り、石段を踏み外してしまった。
 アイは、4、5段ほど石段を酷く転げ落ち、ぐったりと倒れる。普通の人間ならば、脳震盪を起こしているかもしれない。
 しかし、アイは機械人形(オートマタ)。痛みを全く感じることなく、まるで人間が痛みを堪えるように足を庇いながら、ゆっくりと立ち上がろうとする。
 なかなか立ち上がることが出来ない。石段から転げ落ち、人工皮膚が裂け、内蔵機械と人工筋肉が露わとなった右膝のバランスが上手く取れない。出力が上がらない。
『警告、右膝関節駆動パーツに著しい損傷が発生しています。直ちに交換してください』
 プログラミングされた無機質な機械音声がアイの動作不良を警告する。通常、機械人形(オートマタ)がこのような事態に陥れば、安全を優先して、サポートセンターに連絡後、強制終了するのが普通である。
 しかし、機械人形(オートマタ)はそれを自らの判断で拒否した。
 こんなトラブルの一つや二つで、願いを諦めるわけにはいかなかった。諦めれば、それは樹里を裏切ることになるし、彼女自身の信念を裏切ることになってしまう。
 アイはぎこちない動きで、石段を再び上り始める。
『警告、右膝関節駆動パーツに著しい損傷が発生しています。直ちに交換してください』
 1分おきに流れる警告ボイス、それを敢えて無視して上り下りの繰り返しをするアイ。右足が軋み、加熱し、金属が擦りあう異音が鳴る。出力が上がらなければ、バランスを取ることもままならない。それどころか徐々に低下している。進捗(しんちょく)状況も本来の27%も遅い。
「樹里のためにも頑張らないといけないです……」
 ややぎこちない笑顔をしたアイは、自分に言い聞かせるように歩みを進める。
 修理できなくてもいい。復元できなくてもいい。スクラップになってもいい。樹里のためにも願いを叶えなければ。叶えなければ、後悔してしまう。
 その痩せ我慢は、程なくして限界を迎えた。
 丁度40周目、アイはついに石段を昇ることが出来ないほどになってしまい、一歩たりとも動けなくなってしまった。
 石段の中腹辺りで棒立ちとなり、バランスを取るだけで精一杯となったアイ。そのバランス補正機構も間もなく役に立たなくなるであろう。
『警告、右膝関節駆動パーツが著しい損傷により作動不能。直ちに交換してください』
 無機質な警告ボイスが虚しく深夜の森に木霊する。それはアイにとって、残酷な宣告であった。
 同時にアイは背中からゆっくりと力なく落ちた。
 アイは、カメラ洗浄液の涙を流しながら悔やんだ。自分が石段から転げ落ちて、壊れることなどにではない。願いを果たせないことだ。アイにとって、樹里を助けたいという思いで一杯だったのだから。
「ごめんなさいです、アイは樹里を元気に出来そうもないです……」
 自由落下となったアイは、受身を取る力もなくそのまま石段に何度も何度も叩きつけられた。人工皮膚が剥げ、人工筋肉が引き千切れ、内蔵機械が滅茶苦茶になり、頭部は藪の中へ消え、機械人形(オートマタ)としての機能を失い、機械人形だった物へと変貌していく。そして終着点である道路に叩き付けられた時には、まるで糸の切れたマリオネットか変死体を連想させるスクラップへと変わり果てていた。
 もし、これが朝になれば何者かに発見されて、大騒ぎになるだろう。だが、それすらも許してくれない。道路に野晒しになった機械人形だったスクラップは夜道を走る車に次々と撥ねられる。撥ねられ、スクラップは機械片や鉄片となり、元が何かが分からなくなるほどに破壊されていく。恐らくは見る人が見ない限り、これが機械人形(オートマタ)であったものだと気付かれないであろう。こうして、アイは誰にも気付かれないまま、行方不明となった機械人形(オートマタ)として生涯を終えることになった。
 だが、現実は違っていた。
「お、重たい……!!」
「大和さまっ!!」
 自由落下になったアイの背中を支えるかのように、2人の影が現れる。
 1人は中肉中背の無個性的な黒髪の少年。
 もう1人は、宝石のように輝くウェーブがかったロングのブロンドへアーと碧眼が特徴的な少女。
 夏目大和と、橘妙である。
「どうして、アイがここにいることが分かったのですか……?」
「妙が橘神社に向かっているお前を見かけたんだ」
「アイさまが、こんな夜遅くにここにいることがおかしいと思いまして」
「夏目さん、妙さん……」
 汗を流しながらも129.3kgもの体を支える大和とアイの笑顔に、アイはカメラ洗浄液の涙が再びこみ上げた。こんな時にまで、助けてくれるなんて思っていなかったのだから。
「よいしょっ、と」
「はぁはぁ……」
 アイを石段を下ろした2人は、その場にへたれこんだ。そして、汗を拭った。
「しかし、何があったんだよ。勝手に家から飛び出て、こんな時間にこんなところへ行って。江草先生が心配していたぞ」
「大和さま、アイさまは江草先生の娘さんですか!?」
「いやまあ、そうだけど……。そんなことよりも、どうしてなんだ?」
 大和はアイを諭すかのように問い質した。アイは、その質問を拒否するつもりなどなかった。助けてくれた相手、それも親友に答えないわけにはいかない。
「夏目さん、妙さん、知っていますですか?」
「何がだ?」
「お百度参りです」
「お百度参り?」
 大和は、今一つピンとしない反応をした。その一方で、妙は納得をしている。
「お百度参りって、確か一日で100回神社にお参りすることですわ。それをすることで、願いが叶うと言われていますの」
「そんなのがあるんだな」
「特に人に見られないように、お百度参りをしますとより効果があると言いますわ」
「ありがとう。大体、察したよ」
「夏目さん……」
「こんなことをしても、樹里は喜ばないぞ」
 大和はゆっくりと立ち上がった。疲れが完全に取れたわけではない。車の急ブレーキ音が石段の下で木霊したからだ。
「思ったよりも早いな。電話をかけてからまだ15分しか経っていないのに。どんだけスピードを出しているんだよ」
「もしかして、江草先生?」
 大和はこくりと頷いた。
「アイ!!」
「アイちゃん!!」
 石段を駆け上る江草、そしてそら。その足取りはとても力強く、2人の心情を物語っている。
「お母さんに、そらさん……」
「なんで、何も言わずにいなくなった!? もし、お前の身になにか大事でもあったらどうする!? 樹里もみんなも私も悲しむじゃないか……」
 息を荒げ、怒りを露わにする江草。だが、ただ感情に任せたものではなく、アイのことを思ってのことの怒りだ。
「アイは、樹里のためにできることがないかと思ったのです……」
「江草先生。これにはかくかくしかじかなわけがありまして」
 大和は事の経緯を簡潔に話した。すると、江草は顎に手を当てて、鼻息を軽く鳴らしていた。
「つくづく身勝手なな娘だ。私はそのように育てた覚えはないぞ」
「頑固なところは、お母さんに似たのかもしれないです」
 アイは、ボロボロの身でありながらも悪態をつく。だが、敵意はない。それは彼女なりの母親への愛情表現なのかもしれない。
「しかし、どうする? このままではお百度参りは出来んぞ」
「アイは最後までやるです!! そうじゃないと、樹里が悲しむです!!」
 そう言うとアイは、無理矢理立ち上がろうとした。
『警告、右膝関節駆動パーツが著しい損傷により作動不能。直ちに交換してください』
 無慈悲な警告音とともに、アイは膝から崩れ落ちる。
「言ったはずだ、今のお前では無理だ」
「それでもアイは諦めませんです!!」
「お願い、江草先生!! アイちゃんの願いを叶えさせてください!! そうじゃないと、アイちゃんも樹里ちゃんも可哀想なの」
「私からもお願いです。アイさまにどうにかして、お百度参りさせてください!!」
「お前たち、それは無理だと言ってい……」
 江草が言い終える前に、大和が割り込み、2人を助ける。
「江草先生、無茶なことを言っているのは分かっています。ですが、アイに最後までお百度参りをさせたいのです!! 本当に出来ないのでしょうか!? お願いします!!」
 大和は誠心誠意を籠めて、深々とお辞儀をした。
 それを見た江草は、どこかばつが悪そうな表情をし、溜息をついた。
「ふぅ……、我侭なお前たちには負けたよ。お前たちの好きなようにするがいいさ」
「ありがとうございます!!」
「江草先生、ありがとうなの!!」
「このご恩、一生忘れませんわ!!」
 娘のために一生懸命になる3人を見て、江草は諦めとともにどこか羨ましそうな顔で見つめていた。そして、アイは嬉しさのあまりにボロボロと涙を零していた。
「ただし、アイはすぐに復帰させるわけにはいかんからな。修理が終わり次第、復帰。それでいいな」
「分かりました」
「とりあえず、アイを車の中に戻す。だから、お前たちも手伝え。私だけでは、アイの太った体を運べんからな」
「酷いです!! アイは、太っていないです!!」
 アイは感涙から怒りの涙へとシフトした。それを見た、江草はけらけらと笑った。
「それは機械人形(オートマタ)基準ではな。人間基準でいうと、成人女性2人以上の重さだぞ」
「みんなと同じにしてくださいです!!」
「はいはい、分かりました」
 アイと江草のやり取りを見て、3人はぽかんとした表情だった。
「アイさまと江草先生って、あんな親子関係だったのでしょうか?」
「俺もあんな姿は見たことないぞ。2人が親馬鹿子馬鹿だったなんて」
「ううん、私も初めて知ったの。とっても幸せそうだね」
「そういえば、そら。どうして、お前が江草先生の車に乗ってきたんだ? 別にここに来る必要はないんじゃないのか?」
「アイちゃんを探している時に、たまたま江草先生の車と会ったの。だから、ついでに来たの」
「ふーん……」
 あまり興味のなさそうな大和に対して、どこか興奮している印象を受けるそら。実際、彼女は大和に出会いたいがために、江草真来菜の車に乗ったのである。もっとも、大和はそれに気がついていないようだが。
「おい、油売っている暇があったら、さっさと運べぇ!!」
「はっ、はい!!」

 どうでしたか、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?今回は行方不明になったアイと、発見する大和たちを書きました。ここしばらくはあまり展開がない上に、暗い内容が続いていたので、個人的にはすっきりと書けた場面でしたね。
 さて今回の場面で一番力を入れたのは、アイの目的地。たった数ページのことですけど、やはり目的地を隠しておくと多少の盛り上がりにはなるかと思って、敢えて隠しておきました。それに、命を持たない機械が願掛けをするというのも面白いなあと思いまして。まあ、どれも実力不足のせいか全く上手くいっていないような気もしますが。
 あと、アイが石段から落下してスクラップになる幻にも力を入れました。こういうのは、やはり力を入れて、読み手に衝撃を与えるぐらいに細かく書いたほうが印象的になりますからね。自分の好きな岡本倫先生も死んだと思わせて、何も起こらなかった時の展開というものをそのまんまライトノベルに引用してみました。個人的には、まだまだ練る必要があると思いましたが。

 少しずつながら執筆しているオリジナルのライトノベル。
 次回は、今回と違っていつもどおり日曜日に更新する予定。お百度参りに挑戦することになった大和たちだが、想像を超える困難な試練だった……。

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