現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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すれ違う想い。
2015-10-25 Sun 21:10

 1ヶ月以上更新が無くてすみません。

 亀の歩みの執筆速度な蔵間マリコです。
 前は週1回更新でしたが、久しぶりに更新しますよ~。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を描いたオリジナルSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 すいません、第15話を完成するのに随分と時間がかかっちゃいまして。目標としては、1話60日、最悪でも70日で完成させるつもりで書いていたのですが、結局80日と延びきってしまいました。自分の決めたノルマを達成するどころか、もう全然ダメダメ。別に精神的な問題でもないし、仕事が忙しかったわけでもない。本当に上手くできない自分が不甲斐ないばかりです。でも、第16話以降はこんなことにならないように頑張らないと!!
 と、ちょっと愚痴が入ってしまいましたが、そろそろ本題へと入らせてもらいます。先に言っておきますが、お世辞にも面白い内容とも、上手な文章とは言えないかもしれません。それでも読んでくれると非常にありがたいです。それでは、今回もどうぞ。

         第15話 機械人形(オートマタ)は人の夢を見るのか?(1)

 俺たちはその後、さつきさんから一部始終を聞いた。
 先日の閉店後、いつものようにさつきさんは店内の掃除、マスターは明日の仕込みを行っていた。
 さつきさんはホールの掃除が終わったことを報告しに、厨房へと入った。
 そこで初めて緊急事態であることにさつきさんは気付いた。
 厨房の奥、マスターが倒れていることに。
 さつきさんは、病院に連絡をした。
 それから間もなく、救急車が到着し、病院へと搬送された。
 しかし、手遅れだった。
 緊急手術の甲斐も虚しく、マスターは帰らぬ人になった。
 数週間前から少し体調が悪かったものの、大事ではないと病院に検査へは行っていなかったようだ。
 そのショックのあまり、さつきさんは帰宅してからずっと厨房の片隅で蹲っていたようだ。
 もし、俺たちが店の中に入っていなかったら、さつきさんはどうなっていたのだろうか?
 マスターのいない店で、いつものように営業していたのだろうか?
 あるいは、電力切れになるまで、人知れず朽ち果てるまでこのままでいたのだろうか?
 どちらにしても、あの店にはもうマスターはいない。
 さつきさんは、最も大切な存在を永遠に喪ってしまったのだ。

「そうか、そういうことがあったのか……」
 東雲病院の待合室で、俺たち4人は江草先生に純喫茶さつきであった出来事を話した。
「江草先生、さつきさんはどうなるの? さつきさんが可哀想だよ」
「身寄りがいるのならば、引き取ってもらうというのが一般的だが……」
「そうじゃない場合は……」
 機械人形(オートマタ)の知識がかじった程度にしかない俺でも、それはおおよそ想像がついた。だが、それは口に出すべきでないと察した。
「言いたくはないが、機械人形(オートマタ)は法律上、家電製品扱いだ。だから、引き取ってくれる相手か業者がいない場合は処分される」
「そんな……」
「そうか……」
 そらは愕然とした顔となり、デュタは難しそうな顔をしていた。
 そして、アイは。
「お母さん、さつきさんを引き取ることとはできないのですか?」
「私が新しいマスターになるということか? 残念だが、それはできない」
「なんでです!? さつきさんが可哀想です!!」
 アイは周囲を気にする様子もなく憤慨した。
「私はお前の子育てで精一杯なんだ。メンテナンスだって、維持費だって増える。部屋だって、どうする。家族が増えるということはそういうことだ」
「お母さんは誰もが認める天才科学者なんだから、一人増えても別に大丈夫です!! そんなの関係ないです!!」
 江草先生の言い分も一理あるが、アイはそんなの聞く耳など持っていなかった。それだけに、アイはさつきさんのことを救いたいのかもしれない。
 しかし、江草先生は恐ろしいほどにシビアだった。
「では、私が新しいマスターとなったとしよう。それでさつきは、私のことをマスターだと認めてくれるか?」
「う……」
 アイは言葉に窮した。
「機械人形(オートマタ)だから、記憶を弄って私をマスターだと認めるようにすることだってできる。しかし、それでさつきが救われるのか?」
「うう……」
 アイは涙らしき液体で瞳が潤んでいた。しかし、流さなかった。
「とにかく今の今ではどうにもならん。事の推移次第だ」
「はいです……」
 どこか納得がいかないものの、アイはようやく引き下がった。母親だけあって、手綱取りは俺たちよりも上手い。きっと俺たちが同じ立場なら、もっと時間がかかっていたであろう。母は強し、ということか。
「しかし、どうするんだ、大和。今日は気分的にも見舞いは不味かろう。そのまま家に帰っても構わんぞ」
「いや、ここまで来た以上は見舞いをするつもりです。昨日の責任もありますし」
「私も樹里ちゃんの元気な顔が見たいの」
「私も2人と同じだ」
「そうか。だが、あまり無茶をするんじゃ……、済まない、一旦話を中断させてもいいか?」
「なんか用事でも?」
「樹里の両親が来た」
 俺は入り口に視線を合わせた。そこには一組の壮年の男女の姿が見えた。
 男性のほうはサラリーマンカットの真面目そうな男、女性のほうは髪の毛を後ろに1つ束ねたこれまた真面目そうな女性。服装も普段着などではなく、ともにスーツとこれまた硬い。
「こんにちは」
「こんにちは、真来菜。娘の体調はどうなのよ?」
「昨夕に発作を起こしたが、今は落ち着いている」
「それは良かったわ」
 樹里の母と思わしき人物の言葉は、どこか血の通わぬ冷たいものだった。この病院で働く機械人形(オートマタ)の看護士以上に。
「ところであの子達は誰なのよ?」
「ざっくりと言えば、私の教え子だ。数日に1回ほど樹里の見舞いに来てな」
「あらそう」
 スーツを着た高慢な女性は、俺たちなどまるで眼中にない素振りを見せる。感謝の言葉1つぐらいかけてもいいぐらいなのに。
「絵梨(えり)、あまり時間がないからな。10分で済ませるぞ」
「ええ、あなた。分かりましたわ」
 ただただ冷たい印象を受ける樹里の母に対して、樹里の夫はどこか急いているようだった。この病院に到着してから、かれこれ3回も腕時計を確認している。こんなに時間を気にすることなんて、余程のことがなければ有り得ない。
「俺たちはどうしたら」
「すまないが、樹里の両親が見舞いを済ますまで待ってくれないか?」
「は、はい」
 俺たちは8011号室前のソファーに腰掛ける。どこか気疲れした気分だ。壁に流れるアルプスの穏やかな原風景が唯一の救いである。もし、これがなければ、3割り増しに疲れていたかもしれない。
「なんだか冷たいね」
 そらが顔の向きを変えずに語った。同じく疲れ気味の表情だった。
「そうだな。なんかまるで他人事みたいだし、娘のことが可愛くないのか?」
「地球(セラン)のことはよく分からないが、私も大和と同じことを思った」
「そうだよねえ……」
 俺は父親のことがあまり好きではない。しかしそれでも、冷たいといった理由ではない。絵に描いた典型的昭和頑固親父だからだ。今時、こんな父親は珍しいくらいだ。
「昔から、あんな感じではなかったのです。昔は忙しいながらも、家族一緒に食事をしたり、旅行に出かけたりと笑顔の耐えない家族だったです」
「もしかして、樹里の病気が原因か?」
「そうです。樹里ちゃんの入院費を払うために、前以上に忙しくなったのです。樹里ちゃんと出会える時間も少しずつ減っていき、樹里ちゃんのお母さんとお父さんも笑顔が減ったのです……」
 こんな立派な設備がある病院を利用すれば、入院費もべらぼうに高いのは目に見えている。しかし、それで本質を見失えば本末転倒である。かといって、普通の病院では治せないのも事実だ。
「なんか想像以上に複雑だな……」
「私たちに何か出来ることはないのか? このままでは、樹里が可哀想だ」
「励ましのメールを送ったり、お祈りとかして元気になることを願うしかないのかな?」
「なんだよ、お祈りって」
 だが、そらが神頼みをしたくなる気持ちも分からなくもない。昨日今日で色々と起こりすぎて、切羽詰っているのだから。
「ふぅ……、もうなんだか分からん。俺たちにできることなんて……」
「うるさいっ!!」
 何かが叩きつけられる音ともに、樹里の大声が通路にまで響き渡った。
「何があったんだ!?」
「大和か!? お前たちも手伝ってくれないか!?」
「は、はい!!」
 アイは江草先生との簡潔的な会話を済ませた後、俺たちは病室へと入った。
 すると、そこでは想像だにせぬ修羅場が起きていた。
「うわああああぁっ!!」
「止めなさい、樹里!!」
 撒き散る羽毛、中身の散らばったゴミ箱、地面に叩きつけられモニターが割れたノートパソコン。そして、ベッドの上で手のつけようがないほどに荒れ狂う樹里。緊急手術の翌日であるにもかかわらず、相当な取り乱しようである。
 その一方、樹里の両親は樹里から少し距離をとり、江草先生はボサボサのポニーテールがますます乱れていた。
「樹里ちゃんに何があったのですか!?」
「ああ、樹里が突然暴れてな……」
 江草先生は困りきった顔をしていた。一体、何があったというのだろうか?
「樹里、やめなさい!!」
「お母さん、お前のためを思ってしたことだぞ!! 何が不満なんだ!!」
「そんなの口だけ!! 全然私のことを分かっていない!!」
 落ち着かせようとする両親だが、樹里はそれを聞き入れようとしない。
「樹里ちゃん、何があったの? ひとまず、落ち着こうよ。そうじゃないと、分からないよ」
「ふーっ!! ふーっ!!」
 そらは、危険を顧みず樹里の両肩を持って、落ち着かせようとする。とてもではないが、俺にはできない行為だ。怪我をしたら洒落にならないからだ。
 それでもそらの説得が効いたのか、樹里の体から徐々に熱が抜けていく。
「なんだよ、癇癪起こしてさ」
「ああ、少し前までは欝気味だったんだがな。両親が来てからは、大荒れだ。今まではこんなことなどなかった」
 欝気味、恐らくは先日の出来事なのかもしれない。しかし、それと激昂する理由が見つからない。
「樹里ちゃん、どうして怒っているの?」
「もう分からない……」
 その声はか細く、ブルブルと震えていた。弱々しいながらも、何か複雑な感情が籠められている。
「みんなと同じように、元気に明るく生きたかった。友達と一緒に遊んだり、お父さんやお母さんと楽しくご飯を食べたり……」
「それだったら、火曜日の手術で治るじゃないか。樹里、もう少しの辛抱だ」
「お母さんも心配しているのよ。だから、我侭言わないで」
「だから、違うっ!!」
 樹里の怒声が、病室の空気を揺るがした。
「何もかもがおかしくなったのは私が病気になったせい!! 私が友達と同じような生活が出来なくなったのも、お母さんやお父さんが昔みたいじゃなくなったのも、みんなが特別扱いするのもっ!! 私はそんなために生きているじゃないし、そんな生き方なんてしたくない!! でも、私にもどうしたらいいのか分からない!!」
 悲痛だった。
 自分が病気になったから、何もかもがおかしくなった。自分も、周りの人たちも。勿論、昨日の件だって、そうだ。樹里の言い方にも問題があっただろうが、それを汲み取ることが出来なかった。悲劇のヒロインなどではなく、周りに病気のことで負担をかけてしまっていることに酷くストレスを感じていたのかもしれない。
 だが、俺たちだってそれは同じだ。樹里の気持ちに反しているかもしれないが、それでもアイや江草先生、樹里の両親は治って今までのように生活できるようになってほしいというのは変わりない。同じことを思っているはずなのに、すれ違うなんて皮肉な話である。
「樹里、いい加減にしてくれないか。お母さんだって、困っているだろ」
「私たちだって、あなたのために一生懸命……」
「もういい加減にしてっ!!」
 血が頭に上り、怒りで脳内が満たされた樹里は凶行に乗り出した。
 棚の上にあったガラス製の水差しを乱暴に取り、そして。
「わああああああああぁっ!!」
 樹里はガラス製の水差しを、樹里の両親に向けて投げつけた。
「危ないっ!!」
 デュタは反射的に投擲物に向かって、右手を伸ばそうとした。
 だが、無慈悲にも数mmほど指先が届かなかった。
 そして、すり抜けた水差しは、頭にぶつけられ、粉々に割れた。
 割れたガラスが顔や頭に刺さり、血塗れとなり、痛さのあまりに悲鳴を上げ、地面をごろごろと転げ回る。今すぐにでも医者と看護師を呼ばなければならない。もはや、見舞いなどといった悠長なことを言っている場合ではない。
 しかし、そうはならなかった。
「あっ、あっ……」
 感情に身を任せた樹里は、ここで取り返しのつかないことをしてしまったことに気付いた。
 水差しをぶつけられた相手、俺でもなく、そらでもなく、樹里の母親でもなく、樹里の父親でもない。
 樹里を看病していた機械人形(オートマタ)のアイだ。
「アイちゃん!! 怪我はないの!?」
「アイは大丈夫です。アイは機械人形(オートマタ)ですから。それよりもみんなは怪我はないですか?」
「あ、ああ……。誰も怪我していない……」
 そらは、アイに被った冷水とガラス片をタオルで払った。
 アイの反応を見て、実感した。水差しを投げつけられたのに、痛みに悶えない。ガラス片が刺さっているのに、血を流さない。自分よりも他の人たちを身を案じる。人により近い存在であるが、人とは違う存在。それが機械人形(オートマタ)であると。
 それと同時に、アイが機械人形(オートマタ)である故の悲しさを垣間見せた。
「アイ、私、私は……」
「アイは、機械ですから痛みを感じることはありませんです。アイは、機械ですから血を流すこともありませんです。でも、だから分からないのです。痛みという感覚をです。樹里の病気の痛みも、水差しをぶつけられた痛みもです。樹里の痛みや辛さをアイが全部もらって、樹里の顔が幸せになってくれるのなら、アイはそれだけで十分です。ですから、樹里には捨て鉢になってほしくないのです。もっと、自分を大切にしてほしいのです」
 アイは微笑んでいた。しかしながら、哀しみに満ちたものであった。
 樹里の病気の痛みと辛さは、当事者でないために理解することが出来ない。それは、アイも同じである。しかし、痛みがどういうものかが分からないから樹里の怒りの訴えも伝わらない。人間なら分かることが、機械人形(オートマタ)には分からない。人のためになりたいアイにとって、それがどれだけ辛くて、悲しいことか。
「ううう……、なんでこんなことをしたのかな? 私……」
「落ち込まないでくださいです。アイは、樹里の悲しい顔を見たくないです……」
 部屋に差し込む夕日の光が抱きつきながらすすり泣く樹里と頭を撫でるアイをクローズアップさせる。それを見た俺たちは、どうにもならないほどの痛まれない気持ちになった。
 
 どうでしたか、今週から始まった彼女たちの極秘事項(トップシークレット)第15話は?
 1ヶ月ぶりの彼女たちの極秘事項(トップシークレット)ですが、いきなり湿っぽいところからスタートしちゃって。でも、自分なりには面白くなるように書いたつもりですよ?
 まず、今回の場面で一番力を入れたのは、花瓶を投げつけられた後のアイの樹里に対する発言。自分としては、この場面で一番言いたかったことで、アイが機械人形であるゆえの違いと悲しさ、そして人の気持ちを理解したいというものを全面に押し出してみました。やはり人間に憧れているロボットというものを書くには、明確な差というものが必要ですからね。そこはしっかりきっかり考えながら書きました。
 あとは、新キャラの樹里の両親にも描写についても色々と注意しました。第14話でもちょろっと触れましたが、今回は本格的に登場。ということで、そのイメージを壊さないように娘の樹里のためにとにかく働きすぎて、本質を見失った両親というものを書きました。服装については、それらがきちっと出るようなデザインにするのもポイントの一つ。やはり、こういう外見でも上手く表現しないとね。

 なかなか上手くいかないけど、自分なりに楽しく書いているオリジナルのSFファンタジーライトノベル。
 次回は、今までのように日曜日更新予定。大和たちの前に次々と辛い出来事が起こるが、果たしてこの負の連鎖はいつ止まるのだろうか?それは見てのお楽しみ。

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