現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告
心と体。
2015-08-23 Sun 21:01

 ちょっと疲れているので、手短に。

 なかなか思うように書けない蔵間マリコです。
 さて日曜日ですので、いつものコーナーを更新しますよー。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、耳とミューナとの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 もう疲れているので、前座も後書きも省略させてもらいます!!マジで眠たいんです!!そのくらい今日はクタクタなんです!!こんな暑い日に大掃除をしたせいで。ホント、許してください。
 それといつものことですけど、自分の書いたライトノベルはあまり上手いとは言いがたいです。ですが。呼んでくれたら非常に有難いです。それでは、今回もどうぞ。
                第14話 鋼の心臓(アイアン・ハート)(6)

 東雲大学病院に到着したのは5時5分だった。
 予定の時間よりも5分ほど遅れたが、この程度ならば別に問題はないだろう。
「おっそーいっ!!」
「夏目さん、星野さん、今日もお見舞いありがとうです」
「アイちゃんに、樹里ちゃん!!」
 待ちきれなかったのか、樹里は待合室のソファーにだらしなく腰掛けていた。
「5分ぐらいいいだろ、わざわざ見舞いに来てんだからさ」
「女の子を待たせる男の子がいる!? でも、そらさんは女の子だから別」
「なんだそりゃあ」
 相変わらず身勝手な言い分だ。これが成績という対価がなければ、すぐさま見舞いを辞めていたかもしれない。いや、そらやデュタは見舞いに行くだろうから、結局は行くかもしれない。俺一人だけが行かないというのもばつが悪すぎる。
「大和さん、今日のお土産は何?」
「いつも何か買ってくると思うなよ。前なんて、『京極堂』の特製アンパンなんて面倒なもの買わせやがって。大体、今日はアイがお菓子を買ってきたじゃないか」
「ぷーっ」
「ぷーっ、じゃありませんです!!」
 膨れっ面の樹里をアイは叱る。しかし、樹里は全く反省の色を見せていない。樹里の親も少しは躾をしっかりしほしいものだ。
「で、今日は何がしたいんだ? 悪戯は勘弁だぞ」
「うん、今日はね、大和さんと2人で話したい」
「そうかそうか、俺と話したいんだな。で、何がはな……、えっ!?」
 俺は思わず院内で大声を出してしまった。同時に待合室の客や看護師たちが俺に視線を合わせた。痛くて冷たい視線が。
「ご、ごめんなさい……」
「もう、大和くんは子供っぽいんだから。年下の私でも、こんなところで大声出さないのに」
「……」
 爆発したかったが、ここはグッと堪えた。ここでもう一度大声を出したら、今度こそつまみ出される。
 俺は深呼吸をし、内なる怒りを抑えた。風船のように肺に空気を一杯入れて、肺を押し潰すように空気を吐き出す。よし、これで冷静になれた。
「で、何で俺と2人で話したいんだ。俺にしか話せないようなセンシティブな話か?」
「うん。センシティブと言えば、センシティブ」
「大和くん、私はアイちゃんと世間話でもしているよ。だから、樹里ちゃんが満足するまで頑張ってね」
「他人事だからって、気軽に言いやがって……」
 そらは鞄の中から、『宇宙の神秘 地球外生物編』と書かれているボロボロの本を取り出していた。また古本屋で買ったのだろうか?
「もし、困りましたら私が代わりますです。ですから、その時は呼んで下さいです」
「まあ、出来るだけ頑張るよ」
 そう言われるだけでも、俺は嬉しかった。

 樹里と俺は動く歩道に乗って、病院の奥へと向かう。
「この先に何があるんだ? なにか見せたい物でもあるのか?」
「まあね、病院内じゃあ少し堅苦しいからね」
 とは言うが、奥へ行けば行くほどすれ違う人が少なくなっている。こちらへ用事のある人間が少ないという証拠であろう。そんなところに一体何が。
「着いたよ」
 動く歩道に乗っておよそ3分ほど経った先、病院の突き当たりの両開きの扉に辿り着いた。
「風が少し強いから気をつけて」
「あ、ああ……」
 病院のことをよく知っている樹里にそう言われると思わず身構えてしまう。それに加えて、今までの件があるから尚更のこと。
 俺は恐る恐る扉を開いた。
「うわっ!!」
 髪の毛が一瞬、オールバックのようになった。
 強風がもろにあたり、直視ができない。俺は両腕で顔にかかる風を遮り、目を瞑った。北風と太陽の北風に煽られている旅人もこんな感じだったのだろうか?
 しかし、その風も徐々に慣れていく。最初こそは驚いたが、別段歩けないとかそういうわけではない。問題なく歩ける。
 俺は両腕を下ろし、両目をゆっくりと開ける。この風の正体は何か? そして、樹里がここに読んだ理由とは?
「ああ……」
 すると、そこには心安らぐ美しき風景が待っていた。
 白いレンガで作られた道に、綺麗に咲いた紫陽花の花と旬にはまだ遠い橘、木製の簡素なベンチ、そしてそこから見える東雲の海と夕焼け。ちょっとした広場ではあるが、とても立派な場所である。こんな絶景ポイントがあるとは、狭いようで東雲市も広いものである。
「どう、どうでしょ? 綺麗でしょ? ここお気に入りの場所!!」
「とても綺麗だな。海風の匂いも良い」
「どうせなら写真を写してよ。写真部って聞いたよ」
「もう少しゆっくり風景を堪能したかったのにさあ……。せっかちなんだよ」
 と言いつつも、俺はスクール鞄から安物の銀色デジタルカメラを取り出した。
「大和さん、こっちこっち」
 樹里は広場の小高い丘へとゆっくりと歩いた。一通り軽く見回したところ、ロケーションとしては最高の場所である。
 俺は逆光と夕日であることを注意し、デジタルカメラを設定した。距離よし、樹里も海も夕焼けもしっかりと入っている。
「じゃあ、写すぞ。チーズ」
「チーズ!!」
 樹里は夕焼けに負けない満面の笑みのまま、ピースをした。
「どうどう? 私の綺麗で可愛い写真が取れた?」
「お前が綺麗で可愛いかどうかは知らんが、ちゃんと取れたぞ」
「おおぅっ!! なかなかの写真写り!! やっぱり、私って可愛い!! うーん、でも、影の写り方がいまいちかなあ」
「うるさいなあ」
 それは否定できなかった。自分でもなかなかいいと思った構図だったが、実際に写してみるとかなり違う。常に様々な要因を計算してから撮影しろとはリリィから言われているが、この画像にはそれが大きく影響している。まだ精進が足りないということか。
「今日はこれで終わりなのか? それなら俺は嬉しいが」
「そんなわけないでしょ。あそこのベンチに座って話すよ」
 樹里の指を指した場所、写真を撮影した場所の隣にあるベンチだった。
「で、今日は何が話したいんだ。センシティブな内容なんだろ」
「まあね」
 俺と樹里は、ゆっくりとベンチに座る。夕焼けで染まった海が見えて、どこか感傷的な気分だ。
「ねえ、私の病気のこと知っている?」
「具体的には知らないけど、日常生活が大変になる病気だろ。でも、しばらくしたら手術するんだろ」
「私ね、心臓に重たい病気を抱えているんだよね」
 樹里の表情は、笑っているのか、悲しんでいるのかなんとも言えなかった。ただ、いつものようにふざけていないのだけは、しっかりと伝わってくる。
「心室中隔欠損症って言ってね、生まれつき心室に欠陥がある病気を患っているの。私の場合は、右心室と左心室との間にある心室中隔が他の人よりも薄くて脆い。そのせいで心臓に時々が激しい負担がかかっちゃう。だから、日常生活を送るのも一杯一杯。スポーツなんてもってほか。ホント、数年前まで普通に生活が出来たのが奇跡だなんてお医者さんが言ったんだから」
「初めて聞いた病気だが、なんだか大変そうだな」
「そうだな、じゃなくて、本当に大変。そこは間違えないで」
「はいはい」
「でも、手術したら普通の生活が出来るようになるって、お医者さんが言ってね。今の私の心臓と人工心臓というのを入れ替える手術だって」
 樹里の声色は喜んでいなかった。それがどうしてなのかは、俺には分からなかった。
「その人工心臓に使っている技術は、なんと真来菜お姉さんがロボット工学で培った技術が使われているんだよね。それに真来菜お姉ちゃんも製作に関わっていて」
「まさか、こんなのにもか!?」
「うん。機械人形(オートマタ)に使われている人工筋肉の技術が、人間にも転用できるなんて真来菜お姉ちゃんとお医者さんが言っていた」
 担任の真来菜が機械人形(オートマタ)の革命に貢献したというのは周知だが、そういったもの以外の技術進展に貢献していたとは。あんな淫らな人物だというのに、つくづくそこが知れない人物だと改めて実感させられる。
「良かったじゃないか。また今までと同じような生活が出来てさ」
「……しくないよ」
「えっ」
 樹里は、ボソリと言った。
「全然嬉しくないよ」
「どうしてなんだ? 病気、苦しいんだろ? 普通に生活が出来ることが嬉しいんじゃないのか?」
 少なくとも俺が樹里の立場なら、間違いなくそうであろう。人間、健康であることは何にも代え難い喜びであるのだから。
「不安なの、色々なことが。大和には絶対分からないことが」
「不安?」
「確かに、人工心臓を移植したら病気が治るのは間違っていないよ。でも、その手術が成功するかは保障はできないって医者さんが……」
「どのくらいの確率で成功するんだ?」
「70%」
「70か……」
 確かに微妙な数字だ。成功する確率のほうが高いが、絶対に成功するとは言えない数字。死生観の強い病院という場所に長い間居れば、尚更のことであろう。
「だけど、そんなことを考えても無駄だろ。それよりも、治ったあとのことを考えたほうが前向きに……」
「今まで通り生活できると思っている? そんなわけないでしょ」
「リハビリとかあるのぐらいは分かる。だけど……」
「違うっ!!」
 樹里はベンチから立ち上がり、大声で遮った。それに呼応するかのように、風が更に強く吹いた。
「どうして、5年間も入院していた私が今まで通りの生活が出来るっていうの!? 5年間、出来たはずのことが全く出来なかった!! 5年間、学校に行かなかったから友達もいなくなった!! 5年間、マラソンが出来なかったから大会にも出ることも、走ることもできなかった!! これがどれだけ悔しいか分からない!?」
 樹里の取り乱しようは、尋常ではなかった。まるで積もりに積もったものを吐き出すかのように、感情の濁流が押し流すように。俺にはとても止められるものではない。
 しかし、それでも少しでも樹里の感情を堰き止めてやらなければ。
「だ、大丈夫だって。5年間ぐらいの期間、簡単に埋め合わすことができるさ。友達だって、また作り直せばいいし、マラソンだって……」
「気休めなんか言わないで!!」
「気休めじゃない、俺はお前のことを思って……」
 強風が止んだ。聞こえるのは、遠くからの小波(さざなみ)の音だけ。そして、樹里の怒声。
「そんな口だけで、どうにかなるっていうの!? そんなんだったら、私の病気だってとっくに治っているよ!! 私から自由も時間も人生も奪った!! そんな慰めでどうにかならないのが、私の病気だからっ!! あんたには分かるわけないでしょ!!」
「確かに分からないさ、お前じゃないからどんなに辛いかは」
「やっぱり!! どうしようもないじゃない!!」
「じゃあ、俺はなんて言えば良かったんだよ?」
「なっ……」
 俺はゆっくりと立ち上がった。血液が沸騰する感覚を覚えた。どんなに悪戯をされても我慢できたが、ここまで聞き分けが悪いとは。
「どうせ、何を言ってもキレるんだろ!! 不幸な自分に酔いしれたい。単にお前は、悲劇のヒロインを演じているだけだろうが!!」
「な、なによそれ!! 私は悲劇のヒロインじゃない!! 私はただ、話を聞いてほしかっただけよ!!」
「それならそれでいいさ。だがな、現実を見るしかないだろ!! どんなに愚痴ってもいいが、座り込んで目と耳を塞いでなんになるというんだ!? 俺がお前でない以上、お前の足で歩け!! 俺ができるのは、それだけだ!!」
 怒りに身を任して、俺は樹里を圧倒した。冷静にならないといけないのは分かっているが、それでも自分でもどうにもならなかった。
「ああもう、見舞いに来た俺が馬鹿だった!! 俺は帰る!!」
 石段を足速く降りて、俺は広場から出ようとした。せっかくいい場所だったのに、こんな喧嘩別れするなんて最悪だ。明日からは、絶対に見舞いに行かない!!
「まっ、待ってよ!! お願……!!」
 遅れて樹里が石段から駆け下りるが、俺は振り返らない。振り返るだけの冷静さもないし、樹里に対する掛ける言葉も無かったからだ。そうすれば、非常に気が楽だったかもしれない。
 ゴロゴロと何かが倒れる音。それも勢いよく倒れる音だ。
 嫌な予感がした。俺の予感が当たらなければ、それでいいのだが。
 ゆっくりと振り返った。先ほど降りた石段に向かって。
「い、痛い……、死……にたく……」
 石段の下で丸くなって倒れている樹里がいた。
「樹里っ!!」
 俺は駆け足で樹里の元へと戻った。
「お、おい!! こんな時に悪戯じゃないよな!?」
 そんなことは俺でも分かっていた。体中から汗を噴き出し、胸を掴みながら、苦痛の表情で蒼白の顔を歪める。樹里の言っていた病気が症状だ。
「い……、いや…だ……、こわ………い……」
「おい!! 俺は何をすればいいんだ!? 医者を呼べばいいのか!?」
「お……ね…ちゃ……ん…、ア……イ…、た、す……けて……」
 まるで俺の声が聞き入っていないかのように、呻き声をあげる。
 反応がない樹里を見て、俺は決断した。
「医者を呼ぶから待っていろよ!! その間に死ぬんじゃないぞ!!」
 俺は全速力で待合室へと向かおうとした。
 だが、俺が扉に開けようとした時、勝手に扉が開いた。
 そらとアイ、それに加えて担任の真来菜だ。
「どうしたんだ、大和。そんなに慌てて。トイレにでも行きたいんかぁ?」
「江草先生!! そんな悠長ことじゃない!! 樹里がっ!!」
「まさか!!」
 俺たち4人は、倒れこんだ樹里の元へと走った。
「樹里ちゃん!!」
「今すぐ医者のところへ連れて行ったほうがいいか!?」
「いや、今、動かしたら体調が悪くなるかもしれん。先に医者をだ!!」
「分かったです!!」
 そう言うと、アイはまるでヘッドフォンをつけているかのようにガルウイング状の機会耳に両手を当て、復唱を始めた。
『看護師さん、緊急事態です。8011号室の如月樹里さんが発作を起こしたです。場所は、東雲病院南広場です。看護師さん、緊急事態です。8011号室の……」
 初めて見るアイの機械人形(オートマタ)らしい挙動。目は自然的な藍色の瞳から、人工的な赤色を宿した瞳へと変わっている。余程のことがなければ取らないと、後に江草先生から聞いたが、今の事態が余程のことであることは間違いない。
 すると、1分も経たないうちに医者と数人の看護師が現れた。直接呼びに行くよりも、電話を掛けるよりも、メールを送るよりも早い行動。機械人形(オートマタ)ならではの、アドバンテージである。もっとも、感心している場合ではないが。
「樹里ちゃん、大丈夫ですか!?」
「反応なし、呼吸、心拍数、脈拍ともに異常。早く担架に乗せて!!」

 どうでしたか?今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?
 次回はいつもどおりに日曜日更新予定。その時は、しっかりと後書きを書きますので、今回同様によろしくお願いします。ちょっと疲れが厳しくて、体が持たない……。

関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 彼女たちの極秘事項(トップシークレット) | コメント:0 | トラックバック:0
<<体力の補給。 | 黒のノエル。 | 恐竜の世界。>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら


| 黒のノエル。 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。