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現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
鋼の肉体。
2015-05-24 Sun 20:12

 なかなか思うようにはいきませんが。

 自分の思い描いた世界を作り上げている蔵間マリコです。
 さてさて日曜日ですので、いつものコーナーを更新しますよー。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を書いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 毎週、このコーナーを更新しておりますが、ライトノベルを書くのって本当に楽しくてたまりませんねえ。昔から思い描いてきた世界を文章という形で書き綴る。それに色々とエッセンスを加えて、ただの自己満足にならないように上手く工夫する。展開に行き詰ったり、精神的状態があまり良くなくて気分が乗らない時もあったりしますけど、それでも基本的には書ける時には書きたいという意志と書くということを楽しんでいますからね。上手くできないことにやきもきするよりも、自分にできることをやる方があっているのかもしれない。
 とまあ、前座はこれぐらいにして、そろそろ本編へと入らせてもらいます。先に言っておきますが、お世辞に上手で面白い内容とは言えないかもしれません。それでも、読んでくれると非常に有り難いです。それでは、今回もどうぞ。
                    第13話 16進数の生命体(3)

 私立東雲学園高等部2-E。
 俺はいつもの面子と駄弁っていた。
「大和さま、今日は楽しみですよね!! そうですよね!!」
 少し癖のあるプラチナブロンドへアーとたわわなおっぱいがセールスポイントの電波系少女、橘妙(たちばなたえ)のテンションがいつも以上に高かった。
「何がだよ?」
「もー、惚けないでくださいよ。今日は調理実習、大和さまに美味しい手料理を食べさせることができる日じゃないですか。大和さまとラブラブになれるこれとないチャンスですよ」
「はぁ……」
 何をイメージしているのか分からないが、妙はまるで抱きついているかのようなポーズを取る。相変わらずの電波っぷりである。
「何言っているの、妙ちゃん!! 大和くんの意志を尊重しないと!!」
 それに対抗するかのように割り込んだのは、黒髪ロングヘアーが特徴のそらだ。
「ねぇ、大和くん。私と妙ちゃんの手作りの料理だったらどっちが食べたいの?」
「そ、そう言われても困る……」
 机から前のめりになるそらに対して、俺は困惑するしかなかった。
「大和が羨ましいな。こんなに大切にされるなんて」
 感心するかのように頷くのは、青髪のショートヘアーのボーイッシュなネコ耳宇宙人の少女、デュタだ。ちなみに、普段は人にばれないようネコ耳を隠している。
「デュタ、そんなにいいもんじゃないぞ……。実際に同じ立場になってみたら分かる」
「そういうものなのか?」
「そういうものだ」
「大和、そりゃあ贅沢な悩みって言うんだぜ」
 筋肉質の長身、犬飼武士(いぬかいたけし)が恨めしそうに語った。
「俺は別に無理矢理調理実習の料理を食べたいとは思わない。俺は自分の作った料理だけで十分だ」
「そんな酷いことを言うもんじゃねえぜ。世の中には全くモテない野郎が、星の数ほどいるもんだからな。妙に、そらに、デュタ。こんなにモテているんだからお前は相当なラッキーマンだぜ」
「別にそんなことでラッキーマンにならくなてもいいんだが……」
 どうせラッキーマンなら宝くじの1等前後賞を当てて、億万長者になったほうがマシだ。もっとも、宇宙人と2度も遭遇したという時点で、宝くじの1等前後賞以上の運の持ち主なのかもしれないが。
「ああ、そうそう。面白い話が一つあるぜ」
「どうせ大した話じゃないんだろ」
「噂じゃあ、また転入生が入ってくるらしいぜ。それも可愛い子ちゃんが」
「1学期だけで3人も転入してくるって、どこのアニメか漫画の世界だよ」
「現に、妙ちゃんとデュタちゃんは殆どそれだろ。1人はお前を将来の夫だと思っている不思議ちゃん、もう1人は正真正銘の美少女ネコ耳宇宙人」
 後半の部分は周りには聞こえない程度の声で武士は語った。
「まあ、確かにそうだけどさあ……」
「だから別に3人目も美少女だったとしてもおかしくないぜ」
「何だよ、その根拠は」
 女の子の話になると、武士はいつも以上に饒舌だ。俺だって可愛い女の子は好きだし、そういうことを考えることもあるが、ここまで熱くなることはない。武士の女の子に対する無駄な情熱には呆れる。
「おい、江草の奴が来たぜ!!」
 クラスメイトの一人が、教室内に警告した。
「大和くん、調理実習、私が作った料理を食べてね」
「勿論、私もですよね?」
「分かっているって、分かっているって。両方とも食べますから、席に戻ろうな」
 俺が適当に返事をすると、2人は席へと戻った。
 教室内のクラスメイト全員が座ったと同時に流れる始業のチャイム。そして、それに合わせて担任の江草 真来奈(えぐさ まきな)が入室した。
「あー、諸君おはよう。今日も盛っているかぁ? 萌えているかなぁ?」
 白衣にボディコンというおおよそ教師とは思えない格好に、それに拍車をかける変態発言の数々。これでクビにならないからとても不思議だ。
「今日はお前たちにグッドニュースがある。それもとってもいいニュースだ。聞きたいか?」
 クラス内は沈黙に包まれていた。それが何を意味するかは、江草も理解していた。
「まったくつれない連中だ。実は今日、新入生が一人ほど入ってくる。それも飛びっきり可愛い子だ。見たら間違いなく萌え萌えのあまりにぶったまけるぞ」
 江草の言うとびっきりに可愛い子というのが、どのような基準かは分からない。妙にもデュタにも同じようなことを言っていたのだから。もはや定型句みたいなものだろう。
 とはいえ、俺も少なからずとも期待はしていた。やはり女の子は、可愛いことに越したことは無い。下心などではなく、ただただ当たり前なこととして。
「入っていもいいぞ」
「は、はい……」
 どこかぎこちない声とともに、新入生が入室した。
 その少女は、文字通りの美少女だった。
 どこか子供らしさが残った顔つきに、吸い込まれそうなほどに綺麗な藍色の瞳、お嬢様結びをした藍色のセミロングヘアーと可愛らしい大きな黄色いリボン、歳相応のバランスの取れたボディバランス。そして、ガルウイングを髣髴させるような機械の耳。
「もしかして、あの子……」
「機械人形(オートマタ)だよね?」
「機械人形(オートマタ)って、学校に入学できるんか?」
「でも、凄く可愛い……」
 突然現れた機械人形(オートマタ)に、教室内はどよめきに満ちた。
 それに対して機械人形(オートマタ)だと新入生は、周りを気にしているのかガチガチに固まったままの足取りで教壇まで歩き、自己紹介を始めた。
「あ、アイはアイと申しますです!! 一人称のI(アイ)、藍色の藍(あい)、瞳のEye(アイ)、人工知能のAI(エーアイ)のアイ、そして愛情の愛(あい)です!! 身長158cm、体重132kg、3サイズは上から82・57・84です!! 特技は、炊事家事洗濯です!! 趣味は、可愛いものを集めることです!! クラスの皆様と仲良くすることができて、笑顔にできたらいいなあと思っていますです!! ふ、不束者ではありますが、よろしくお願いしますです!!」
 そう言うと、アイという名の少女はガチガチになりながらも深くお辞儀をした。
 その時、俺を含めた生徒一同は衝撃的光景を目の当たりにした。
 ごろん。
「えっ」
 新入生の首が無くなった。
 いや、正しくは新入生の首が床に転がり落ちのだ。
「あ、あわわわ、頭、頭……」
 まるでコンタクトレンズを落としたかのように、自らの首を探すアイの首から下。
 その不可思議な光景に、教室内はどよめきから沈黙へと包まれる。
「首なら、ここにあるぞ」
「あっ……」
 アイの首から下から数歩先、そこに困惑した表情のアイの首が転がっていた。
 それを拾い、独特な接続音が鳴り響く。
「み、皆様、登校初日なのに、迷惑をかけてごめんなさいです……」
 しゅんと項垂れ、涙を連想させるような液体を瞳からこぼすアイ。実際のところは、レンズ洗浄用液らしいが、俺がそれを知るよしなどない。
「あ、あのー、江草先生……」
 沈黙に耐えられないのか、武士が先陣を切った。
「アイさんは機械人形(オートマタ)ですよね? だけど、何か普通の機械人形(オートマタ)と違うように見えるんですが」
「そうだ、武士。アイは、機械人形(オートマタ)だ。とある人物の依頼で、性能テストとプログラムの成熟を兼ねてのことで入学した」
「は、はい。お、江草先生の通りです……」
 教室内がざわめいた。
 当然だ、機械人形(オートマタ)が入学することなど前代未聞の事態なのだから。それに首が取れる機械人形(オートマタ)というのも前代未聞だ。あまりにも衝撃的な出来事の連続で、俺の思考はなかなか追いつかなかった。
「しかし、どうして東雲学園なんでしょうか? 工業系の学校の方が喜びそうな人が多いと思うのですが」
「まあ、そこら辺は依頼者の意向だ。深く詮索しないでくれ」
「はぁ」
 どこか引っかかるものの言い方だった。それほどに知られたくないのだろうか?
「まあ、とにかく東雲学園に入学することになった。アイをよろしく頼む」
「あ、改めてよろしくお願いしますです!!」
 今度は先よりも浅くお辞儀をした。お辞儀一つにここまで苦労するなんて、とても難儀な子である。
「では、アイ。あそこがお前の席だ。あのおっぱいの大きい青い髪の女の子の隣だ」
「う、うん……」
 アイは、両手をすり合わせながらもじもじと顔を赤らめる。その動作は、まるで実際の人間と全く変わりがない。
「大和」
 隣の席のデュタが小声で話しかけてきた。
「なんだ? あのアイって機械人形(オートマタ)が気になるのか?」
「以前、私が助けた女の子だ」
「そうなのか? まさかいきなり出会えるなんて……」
「あ、あの時はありがとうございますです!! あの時、助けてくれなかったら私……」
 いつの間にか、アイが俺たちの目の前にいた。
「デュトナ、アイとは知り合いなのかぁ?」
「知り合いというほどではありませんが、以前困っていたところを助けてくれたのです」
「そうか。じゃあ、仲良くしてやれよ」
「はい」
 デュタは、考える必要もなく快諾した。
「デュトナさんですね」
「デュトナ・サイベリアスという名前があるが、デュタって呼んでくれ。アイさん、これからもよろしく」
「は、はい!! これからもよろしく、デュタさん!!」
 デュタとアイは微笑みながら、握手を交えた。

 どうでしたか、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?今回は、新入生の機械人形(オートマタ)のアイの登場と紹介を書きました。どうでしょうか?
 自分としては、この場面は嬉々として書けましたねえ。今までずっと温めていたキャラをようやく出すことが出来たのですから。いや、厳密には違いますよ。作中でも書いている通り、デュタがアイを助けている場面(第4話)がありますから。ただ、第4話の時点ではあくまでも顔見せ程度。その場面以外での複線を含めて、ここで一本の紐に結び合わせたというわけです。
 ただ、この作品は彼女たちの極秘事項(トップシークレット)。言うまでもなく、色々と極秘事項(トップシークレット)を隠しております。大和たちを悩ます謎のなのか、あるいは誰にもばれてはいけない秘密なのか。そういった部分を楽しんでもらえれば光栄です。
 それ以外は、序盤の大和たちの会話のやり取りに注意しました。登場人物を軽く説明しながらも、できるだけ楽しい会話になるように注意する。それを念頭に置きながら書きましたけど、これがなかなか難しいこと。ただ、自分としては結構頑張ったつもりです。

 大変だけど、その分楽しいオリジナルのライトノベル。
 さて、次回はいつどおり日曜日に更新予定。新入生の機械人形(オートマタ)、アイ。その彼女が引き起こす出来事とは?それは見てのお楽しみ。

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