現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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失った冷静。
2015-03-09 Mon 19:11

 月曜日更新なので、手短に済ませます。

 楽しく書いてはいるけど、思うようにかけない蔵間マリコです。
 先日はちょっと別のネタを書いたので、月曜日に繰り越しになってしまいました。オリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 いやまあ、最近は色々と書くことが多くて後手後手になりましてね。それでいながらも、最近はちょっと体力がなかったりして、どうも上手く調子が合わない状態が続きまして……。だから、ブログに限らずとも収拾がつかないんですよ。まあ、年度末だから仕方ないといえば仕方ないのかもしれませんが、どうにかしたいものですよ。
 ちょっと愚痴になってしまいました。暗い話はこれぐらいにして、そろそろ本編へと入らせてもらいます。あまり上手くありませんが読んでくれると非常にありがたいです。それでは、今回もどうぞ。
               第12話 歌姫(ディーヴァ)と騎士(ナイト)(3)

 俺は途方に暮れていた。
 必要最低限のことしか話さずにデュタはワゴン車を追った。ミューナを託して。
「なんで誘拐なんて起こるんだよ……」
 突然、目の前で起きた出来事と、自らの不甲斐なさに俺は唇を噛むことしかできなかった。
「妾も分からぬ。だが、デュタのことじゃ。間違いなく、タエとアリスは誘拐されたのじゃ」
 勿論ながら、ミューナも怒りに震えていた。しかし、俺とは違い、とても冷静だった。以前にも東雲屋敷でトラブルを起こした時もそうだが、ミューナは緊急事態にとても強い気がする。もしかして、地球に降り立つ以前からこういう揉め事に揉まれて生きてきたのだろうか? そうでも考えないと、この恐ろしいほどの冷静さが説明できない。もっとも、そんなことは今の事態からはどうでもいいことだが。
「俺たちも出来ることはないだろうか?」
「無駄じゃ。今から追って何になる。足手まといになるのがオチじゃ」
「だけど……」
 その時、俺の携帯端末に電話がかかってきた。
 相手は――ブリジット・東雲だ。
 何故、ブリジットから電話がかかってきたのかと疑問に思ったが、俺は電話を取った。
「夏目大和ね? ブリジット・東雲ですわ」
「何でお前が電話をかけてくるんだよ。こっちは取り込み中なんだ」
「ええ、そのことについてお話がありますわ。誘拐事件のことで」
「えっ、ええっ!? どうして誘拐されたことを知っている?」
「その誘拐犯から電話がかかったのですわ。アン・R・レオンクールと橘妙を誘拐したと」
 ブリジットの声は、淡々としながらもこみ上げる怒りを抑えていることが電話越しでも伝わってきた。この様子だと、恐らく表情は険しいものかもしれない。ミューナとは対照的だ。
「やはり、そうだったのか」
「そして、それを追っているであろう反応も感知しましたわ。それがデュトナ・サイベリアスであることは、すぐに分かりましたわ。こんなことができるのは、彼女しかいませんこと」
「まあ、そうだが」
「ですから、デュトナ・サイベリアスにも協力を求めましたわ。私(わたくし)は周囲に被害を与えないためにも、現場周辺を封鎖しましたわ」
 成程、それでデュタに協力してもらったというわけか。確かに東雲財閥の力を以ってすれば、誘拐犯を捕まえることなど容易いであろう。しかし、デュタがこれとは別に助け行っている以上は力を借りれば妙とアリスさんが助かる確率が更に増えるし、連携が乱れずに済む。
 となると、気になるのが犯人の目的だった
「で、犯人は何者か分かっているのか?」
「ええ、それも分かっていますこと。とても厄介な相手であることを」
 俺は唾を飲み込んだ。いつもは自信満々のブリジット・東雲相手に、かなり厄介だと言わせるほどの相手がいるとは。俺の想像以上に事態は深刻になっているのではないか。
「あいつらは悪性の宇宙人ですわ。利益となると物を見つければ、ゴキブリのように現れ、イナゴのようにたかる。それを断れば、蜂のように烈火のごとく襲い掛かる。まさに害虫そのものですわ。今回だって、彼らが無茶振りを……」
「宇宙人って……、もしかしてネコ耳宇宙人やイヌミミ宇宙人みたいなのか!?」
「ええ。アル・ビシニアンやウル・シュナイドなど比較にならないほど、醜悪で下賎で卑劣な一族でありますけど。世の中、いい人ばかりとは限りませんこと」
 ブリジットのどこか刺々しい言葉。それほどにブリジットは、その宇宙人とやらと関係が元から悪かったのであろう。そして、それが今回のような形になって爆発したのかもしれない。
「とにかく、私は今から誘拐犯を捕らえに先回りしますわ。私の目が黒い内は、好き勝手やらせませんこと!!」
 怒りに燃えるブリジット。それはいつも学校で見るブリジットとは違ったブリジットであり、同時に口先だけではない本気の正義であることを伝えるには十分な言葉だった。
 となると、俺も出来ることをしなければ。このまま、デュタやブリジットの女の子2人に任せっぱなしというのもあまりにも情けない。
「なあ、ブリジット。俺にも出来ないか?」
「なにがかしら?」
「デュタが誘拐犯を追っているんだろ。それに妙もアリスも、俺の知り合いだ。何か手伝うことが出来ないだろうか?」
 きっとブリジットのことだ、今は猫の手も借りたいはずだ。快く受け入れてくれるはずだ。俺はそのような答えを期待した。
 しかし、ブリジットの答えは意外なものだった。
「それは無理な話ですわ」
「えっ?」
 どこか冷たく突き放した言い方だった。
「貴方が現場に行って何が出来るのかしら? 何も出来ませんこと」
「そ、そんなわけないだろ!! 俺はただ出来ることを……!!」
「大体、貴方が誘拐犯に立ち向かって勝てるというの? 相手がどんな連中か知ってて、言っているのかしら? 貴方がいても返り討ちに遭うだけですわ」
「うっ……」
 ブリジットの言っていることは、間違っていなかった。相手は犯罪者、それも宇宙人。そんなやつらを相手にして勝てる算段は薄い。
 それでも俺は引くわけにはいかなかった。いや、誘拐されたという異常事態に、少し熱くなっていたかもしれない。
「だ、だけど、俺だってエリア51の連中からミューナを守ったんだし、リリィを崩落事故の現場から救い出したんだぞ!! 今度だって!!」
「もし、それで大事にでも至ったとしたらどうするのかしら?」
「それだけの覚悟は――」
「残された者たちはどうするのと言っているのよ!!」
「つっ!!」
 ブリジットの怒声が、端末越しに伝わった。
「夏目大和、貴方は他の者たちのことを考えていないのですわ。ミューナ・ミスティール・スコティッシィ、犬飼武士、星野そら、それにデュトナ・サイベリアスと橘妙とアン・R・レオンクールも。いや、他にもたくさんいるでしょうて。貴方がいなくなったら困る人が、悲しむ人が」
「……」
「今の貴方は、正義の味方になりたいだけ。ただの自己満足に過ぎませんわ」
「……」
 反論する余地など無かった。デュタを助けることばかり考えているあまり、他の者たちのことを考えていなかった。いや、デュタのことすら考えていなかったのかもしれない。ブリジットの言うとおり、自己満足に過ぎないのかもしれない。
「貴方が今出来ることは、家に帰ること。それが誰にも迷惑をかけない一番の選択肢であり、皆のためになる選択肢ですわ」
「……」
「その代わり、約束しますわ。全力でデュトナ・サイベリアスを守りきり、とアン・R・レオンクールと橘妙を誘拐犯の手から解放することを。東雲家の誇りではなく、ブリジット・東雲一個人として」
 先ほどまで怒りの感情が剥き出しとなったブリジットの言葉は、いつの間にか冷静そのものとなり、寧ろ俺を諭すかのような優しい言い回しとなっていた。
「ごめん、ブリジット。少し熱くなっていたよ」
「いえ、元はと言えば私の落ち度から始まった事件ですわ。貴方が気に病む必要はありませんこと。ただ、無理なことをしてほしくないだけですわ。それに私も熱くなっていたのは否定できませんわ」
「そうか、ははは」
 最初こそ突き放した態度に腹が立ったが、それが俺のためだと分かり、少しばかりか救われた。おかげで今はちょっとだけ笑う余裕がある。
「そろそろ私たちのほうも忙しくなりますわ。私はこれで電話を切らせてもらいますわ」
「頑張れよ、ブリジット」
「その言葉、有難く頂かせてもらいますわ」
 そう言うと、ブリジットは電話を切った。
「ヤマト、その顔だと踏ん切りがついたようじゃな」
「ああ、気持ちが整理できた」
 俺はミューナが満足そうな顔をしているように、俺も満足感に溢れた顔で返した。
 今の俺にできること、デュタの帰りを信じて待つことを。

 どうでしたか、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?
 次回はいつもどおりに日曜日に更新する予定です。デュタの帰りを待つことに決めた大和だが、妙とアリスを救出に向かったデュタの運命は!?それは、来週のお楽しみ。

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