現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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究極の奉仕。
2014-12-14 Sun 19:49
 風邪でやられているので、手短に。

 風邪でも一応更新する蔵間マリコです。
 コンディションが最悪ですけど、日曜日なので更新しますよ。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を描いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 先日からあまり良くなっていません。ですので、前置きも後書きも省略させてもらいます。ですので、そこの所は許してください。ちょっと限界に近いんで。
 それでは、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)をどうぞ。
            第11話 学園の女王(ハイスクール・クイーン)(6)

「ふ~、遊んだ遊んだ」
「そうですわね、大和さま。露店のたこ焼き、とても美味しかったですわ」
「そうだな、あの球体形の食べ物は美味しかった。あんなものが地球(セラン)にあるとは。地球(セラン)人の文化は驚くに値する」
 生徒や客で往来の激しい通路の中、俺たち3人は学園祭で回ったイベントを語り合った。
「それもいいが、俺はお化け屋敷が一番が面白かったな」
「お化け屋敷も面白かったですわね」
「お化け屋敷……」
 生まれて初めての学園祭で浮かれていたのか、珍しく口数が多かったデュタが、突如として口数が少なくなった。
「お化けの造詣がとても精密だったな。お岩さんに、女子生徒の幽霊、鬼。入る前は大したことないと思ったけど、あんなに凄いものが学園祭であったとは」
「あんなに怖い幽霊を見たのは初めてでしたわ」
「幽霊……」
 木漏れ日のような穏やかで明るい表情のデュタが、どんよりと曇ってきた。
「特に、呪いの人形のギミック。どうやって作ったんだろうか?」
「デュタさまが触っていたら、突然髪の毛が伸び始めて驚きましたわ。とても上手い不意の突き方でしたわね」
「呪いの人形……」
 喜びに満ちていたデュタの瞳は、涙が溜まってきた。
「どうだったか、デュタ? お化け屋敷は?」
「べべべべ、べつにだいじょうぶ、だだだだいじょうぶってっ!! おっ、おおばけけえななんて、いいいいなないんだっだかららっ!! わわわ、わたしはへいいいききだぞおっ!! そそそ、そうだよな!! ややややまとぉっ!!」
「ああ、分かったから分かったから!!」
 全然大丈夫じゃなかった。もっとも、こういう展開になることを分かってわざと煽ったのだが。ちょっと意地の悪いことをしてしまった気がする。
「しかし、あと1時間ちょっとで今日の学園祭も終わりか……。少し時間があるけど、大体のところを回ったからなあ。適当に時間でも潰そうかな?」
「それでしたら、最後にメイド喫茶に行きません?」
「メイド喫茶? メイド喫茶というと、俺たちのクラスのやっている催し物か。あそこは人が多かったから、無理じゃないかな?」
 実際、何度か俺たちのクラスを通り過ぎたが、2時間待ちの超満員でとても入る気にならなかった。あれは夢の国の人気アトラクションと何ら変わりのない並びようだ。
「大丈夫ですよ、私たちのクラスですから。優先的に入らせてくれますわ」
「そうか?」
「私は先に教室に戻って話してきますね。大和さまとデュタさまは入り口で待ってください」
「あ、ああ……」
 そう言うと、妙は人ごみの中に消えていった。席を作ってくれるのは有難いが、それを割り込んでまで作ってくれるとなると並んでいる人たち少し可哀想な気がする。
 とはいえ、もう断るわけにもいかない。妙の計らいに甘えさせてもらうしかない。
「ふぅ……、デュタ、俺たちのクラスに行く……、っておい」
「おおおばけなんててて、こわわわわくくない……。よようううかいなぁななんて、いいないないない……」
 壁に向かってぶつくさと喋るデュタ。お化け屋敷での精神的ダメージが相当大きかったようだ。
 デュタが完全に復帰するまでには少々の時間がかかりそうだ。

 妙の言うとおり、俺とデュタは教室の前で待機した。
 目の前に見えるのは、メイド喫茶への行列。校舎の北側階段の踊り場まで連なっており、とても今日の学園祭終了時までに全員が入れるとは思えない。俺なら他の催し物に残りの時間を使うが、そこまでして入る価値があるのだろうか?
「夏目さん、デュタさんいいですよ」
 教室の中から、可愛らしいメイド服を着たクラスメイトが現れた。ラクロス部の主将の西原晴海(にしはらはるみ)である。日焼けで浅黒く、ショートヘアーが特徴的なクラスメイトである。
「お先に失礼」
「すまない、割り込ませてもらって」
 俺とデュタは長蛇の列に一瞥し、メイド喫茶へと入った。
「お帰りなさいませ、ご主人様!!」
「お帰りなさいませ、お嬢様!!」
 扉を開いた直後、オリジナルのメイド服姿をしたクラスメイトが数人お出迎えをしてくれた。そして、そのメイドの中には妙とそらもいた。
「ご主人様、こちらのお席でお待ちくださいね」
 俺とデュタは言われるがままに、メイドの指定した席へと座った。茶会の時にも誘導されたが、メイド喫茶のはそれのものとは全く違う。奥ゆかしさや侘び寂びといったものに対して、メイド喫茶はあざとさや可愛いといった言葉が相応しい。
 俺はメイド喫茶の案に反対していたが、実際に参加してみると悪くは無い。これなら長蛇の列ができるのも納得がいく。最後にこんな最高なイベントが待ち構えているなんて、妙も粋なことをするじゃないか。
 しかし、そんな甘くて淡い期待はあっという間に打ち砕かれてしまった。
「ご注文は何にいたしますか? ご主人様、お嬢様」
 メイド服の可愛らしい女の子が注文を――と言いたいところだったが、現実は違っていた。
 声色が低く、身長180cm台中頃のメイド服を着た筋肉質の青年、犬飼武士(いぬかい たけし)が目の前にいた。
「ぶぅっ!!」
 俺は思わず吹いてしまった。そして、椅子から崩れ落ち、腹を抱えて笑い転げた。
「なにがおかしい、大和。人手が足りないから手伝っているだけだぜ」
「あはははは!! わ、分かるけどさあ、そんな格好をしなくても!! ははははははは!!」
 駄目だ、おかしくて息ができない。下手したら窒息死しそうだ。
「俺は接客をする以上、形から入っただけだぜ。メイドとやらが、どういう気持ちでいつも接客をしているのかを体験するためにな」
「形から入り、本質を理解する。それは殊勝な心がけだ。大和は笑うな」
「それにな、このメイド服のデザインを考えたのは俺だぞ。俺が可愛いと思わないものを作ってどうするんだ?」
「い、いやだからって、これは……」
「大和、武士を笑うな。武士は本気だ」
「分かっているじゃねえか、デュタちゃん。大和とは大違いだぜ」
 俺を他所に意気投合するデュタと武士。もっとも、俺が武士を笑っていた理由をデュタが理解しているとは思えないが。
「で、ご注文は?」
「じゃ、じゃあ一番人気でいいや」
 俺は特に深く考えることなく、一番の人気の料理を選んだ。
「メイドのLOVELOVEオムライスでいいんだな、ご主人様」
「もしかして、それはお前が書くのか?」
「それでいいなら構わないが。そういう趣味でもあるのか?」
「いや、そんな趣味はないからさ」
「私も大和と同じものを頼む」
「了解、LOVELOVEオムライス2つ。しばらくお待ちくださいね、ご主人様、お嬢様」
 そう言うと、武士は布で作られた即席の壁の向こうへと消えてしまった。
「しかし、LOVELOVEオムライスなんて頼んでどうするんだ?」
「なにか不都合でもあるのか? 私はオムライスが好きだぞ」
「いや、そういうわけじゃないが……」
 これ以上言っても無駄だと思ったので、俺は敢えて言わなかった。デュタの好きなように任せたほうが、余計に気を使わなくて済む。それにデュタ自信が経験して、地球の文化を勉強させたほうが本人のためにもなる。
 そうこうしていると、料理を持った2人のメイドが現れた。
 ただし、今度は武士ではない。そらと妙だ。
 その姿はとてもしっくりしており、不覚にも2人を可愛いと思ってしまった。
 そらは、丁寧に整えられた黒髪がキュートなメイド服と対照的で、まさに純粋さや可憐さといったものを醸し出している。
 妙は、ブロンドヘアーの高級感がメイド服に自然に馴染み、その上でアクセサリーのキツネ耳がワンポイントになり、可愛らしさを引き立てている。
 ああこれは、確かに行列ができていても全くおかしくはない。
「LOVELOVEオムライスお待たせいたしました、ご主人様、お嬢様!!」
「メイド特製スペシャルジュースをお待たせいたしました、ご主人様、お嬢様!!」
 机の上に並べられるオムライスとジュース。ともに完成度は非常に高い。
「このジュースは?」
「大和くんに、デュタさんに私からのサービス。オマケにフルーツを少し多く入れたの」
 業務的などではなく、心からにこやかに笑うそら。それほどにこのカラフルなジュースは、そらの自慢の一品なのかもしれない。
「おっ、ありがとう」
「大和さまはなんて書いてほしいですか? 『妙、お前のことが好きだ』ですか?」
「そんなわけないだろ……」
「そうだよ、大和くんがそんなことを頼むわけないじゃないの」
 しかし、何を書いてもらいたいのか決まっていないのも事実だった。一番人気の料理と言っただけで、その時にオムライスが出るとは思っていなかったからだ。
「じゃあ、『友情』でいいかな?」
「友情、本当にそれでいいのですか?」
「大和くん、もっと言葉があるんじゃないの?」
 妙とそらの言葉は、どこか念を押したかのような物の言い方だった。俺の注文になにか不満でもあるのだろうか?
「別にいいだろ、それで」
「分かりましたわ、大和さま。美味しくなーれ、美味しくなーれ……」
 妙は渋々と『友情』の文字をケチャップで書いた。とてもではないが、美味しくなったとは思えない。
「デュタさんは何を書いてほしいの?」
「そうだな……、『地球』と書いてくれ。好きな言葉なんだ」
「地球だね。美味しくなーれ、美味しくなーれ」
 俺とは対照的に、そらはデュタの要望をあっさりと受け入れ、手早く書いた。俺の時は嫌がっていたのに、この差は一体。
「さて、これで食べれると……」
「大和さま、待ってください」
「えっ?まだ何かあるのか?」
「大和さま、口を開けてください」
「えっ、もしかして?」
 嫌な予感がした。そして、その嫌な予感は的中した。
「そうですわ、ご主人様。わたしが、大和さまにオムライスを食べさせてあげます」
「え゛っ!?」
「妙ちゃん!!」
 そらの声とともに、教室内にどよめきが走った。
「そんなサービスあったか?」
「もしかして、あのメイドさんと生徒って、あの関係?」
「いいなー、俺もしてもらいたいなー」
「ずりーぞ、ずりーぞ」
 周囲からの異様な声。好奇心や嫉妬、期待などといった感情が入り乱れ混沌の空間が生まれる。
 しかし、妙はそんなこと全く気にしていない。
「ご主人さま、あーん」
 妙はオムライスを掬ったスプーンを持って、俺の口に運ぼうとする。いくらメイド喫茶だからといって学園祭でやるにしてはやりすぎだし、そもそも俺と妙はそんな間柄ではない。
「それは絶対に断る、絶対に!!」
「そうだよ、大和くんは凄く嫌がっているよ!!」
 俺は必死に抵抗する。妙の求愛行動に負けてたまるか!!
 その抵抗は3秒間で破られてしまった。
 俺の唇が一瞬開いた時、妙はそれを見逃さまいと素早くスプーンをするりと滑り込ませる。全く抵抗させる暇などなく。
「あー--------------っ!!」
 教室内に叫び声という叫び声が飛び交った。
「どうしでしたか、ご主人様」
「い、いや、美味しいけどさ……」
「そうですか!? 本当ですか!? これ、わたしが作りました!!」
 鼻息を鳴らして、妙は大喜び。既に注目されているというのに、これでは更に目立ってしまう。
「私も味見を……」
 そう言うと、妙はスプーンでオムライスを一口ほど食べる。俺の使ったスプーンで。
「とっても美味しいですわ!! 大和さまのオムライスは」
 頬に両手を当てて、幸せの絶頂をアピールする妙。妙と間接キスすることになるなんて。
「そうなのか? 大和のオムライスは特製なのか? 私も一口もらってもいいか?」
「いや、そうじゃなくてさあ……」
「大和さま、まだまだ残っていますわ。今度は、この付け合せのフライドポテトを……」
「いや、だから俺は……」
 今度は指でつまんだフライドポテトが俺の口へと襲い掛かろうとする。抵抗をしても、数秒結果が遅
れるだけであろう。もはや、これまでか!?
「待ちなさい!! 橘妙!!」
 突如、メイド喫茶に乱入者が1人現れた。
 赤毛の大きなドリルヘアーに、少しきつめの碧眼の釣り目、凹凸の小さいフラットなボディ。
 言うまでもなく、彼女の名は。
「東雲のノーブラぺちゃパイ!!」
「ノーブルローズ!! 私は貧相な乳ではありませんわ!!」
 調理室から聞こえる武士の声に、ヒステリックに反応するブリジット。ブリジットもブリジットもそうだが、武士もおちょっくてやるなよ。
「ブリジットさま、こんにちは。今日はお客様としていらっしゃいましたか?」
「そんなわけありませんわ!! 私がこのような場所には行きませんわ!!」
「では、一体どのような御用事で?」
「橘妙、夏目大和!! どうしてこのような場で、破廉恥なことをしているのかしら!? 学園祭の実行委員長として警告しますわ!!」
 成る程、ブリジットの言い分はごもっともである。この騒ぎようを見れば、実行委員が警告に入るのは当然の話である。
 しかし、俺が罰される謂れもない。寧ろ、被害者側の人間だ。妙が無理矢理食べさせたのだから。
「私は破廉恥なことをしていません。ただ、メイドとしてご奉仕しているだけ。そうですよね、大和さま?」
「俺に振るなよ……」
「と・に・か・く!!」
 同時にブリジットは、やや前のめりに両手で机を強く叩く。
「今すぐ、このような他の生徒や参加者に示しがつきませんわ。このような破廉恥ごとを……」
「ブリジットさまも食べますか? オムライスですか? ホットケーキですか?」
 苛立ちを見せるブリジットとは対照的に、妙はマイペースにニッコリ笑顔を見せる。
「えっ!? わ、私は貴方たちを指導しに……」
「そんなに怖い顔をしていたら、他の人が怖がりますよ? 学園祭だから、明るい顔で楽しまないと」
「で、でしたら、この『メイドさん特製のケーキ』で……」
「メイドさん特製のケーキですね、お嬢様」
 そう言うと、妙は再び部屋の奥へと消えていった。
「警告しに来たんじゃないのか、ブリジット」
「わ、私だって分かりませんわ。どうしてこのようなことになるなんて……」
 ほんの少しまでイライラしていたブリジットだが、今は困惑気味な顔付きとなっている。完全に妙のペースに乗せられてしまったようだ。
「私も妙の言っていることもあながち間違いじゃないと思う。ブリジット、少し落ち着いたほうがいい」
「そ、そう言われるとそうかもしれないですわ。きっと、このような日に不測の事態なんて起こるはずありませんわ……」
「不測の事態?」
「こ、こちらの話ですわ。貴方たちには関係ありませんわ」
 まあ、ブリジットが言うのは、喧嘩沙汰とかそういった事態のことではないだろうか。
「お待たせしました、お嬢様」
 意外に早く妙が現れた。
「メイドさん特製のケーキです。外側はオレンジとマンゴーのゼリー、中身はババロア、底はスポンジケーキ、飾りはチョコレートと生クリームで出来ています。これは、わたしオリジナルのケーキです。じっくりお召し上がりくださいませ、お嬢様」
 紙製の皿の上に載ったケーキは、猫をモチーフとした可愛らしくて食べるにもったいないほどのファンシーなケーキだった。ケーキ屋で売っていてもおかしくないほどの見た目である。この様子なら、味も間違いなく最高であろう。
「この料理は妙が作ったのか? 地球(セラン)の料理はまだよくは分からないが、とても可愛らしくて美味しそうだ」
「ありがとうございます、デュタさま。これは私の考えた自慢の逸品です」 
「み、見た目はまあまあね。だけど、味はどうかしら?」
 相変わらず妙に対して強情な性格のブリジット。どうしてこうも対抗意識を燃やしているのだろうか? 俺にはまったくもって分からない。
 ブリジットは、スプーンをブルブルと震わせてゼリーとババロアとスポンジケーキを一口。
「あら、美味しい……」
 それはブリジットの素直な感想だった。
「オレンジとマンゴーの2種類のフルーツを使うことによっての生み出された爽やかで甘酸っぱさのシンフォニー。ババロアはバニラ味のスタンダードな味付けがらも、新雪のようにふんわりとしすぐに溶ける優しい舌心地と風味のハーモニー。スポンジケーキはアーモンドシロップとブランデーに漬けたもの、シロップ特有のくどい甘さはなく、スッキリとしながらも体の底から癒す力強い甘さと香りのファンタジー。そして何よりも、ゼリー、ババロア、ケーキの三大要素(トリニティ)がどれも相殺されることなく、食べた者を楽園へと誘う味に昇華。このような素晴らしいケーキ、滅多にお目にかかること出来ませんわ。三ツ星レストランのデザートに勝るとも劣りませんわ」
「お褒めに与り、光栄です。お嬢様」
 グルメ評論家さながらのブリジットの感想。彼女の感想を言い終える間、俺を含めた教室内の客と店員は一言も語らず、唾を飲み、注目した。
 そして、ブリジットが全てを言い終えると。
「俺もケーキを1つ!!」
「私も!!」
「妙ちゃん、ボクも1つちょうだい!!」
「いやいや、俺が先だ!!」
 妙の作ったケーキを求めて、注文の声でごった返した。
 俺はこの光景にただただ驚くばかりだった。確かに妙が作った料理は、例外なく美味しいから注文が殺到するのも納得がいく。しかし、それ以上にブリジットの感想がここまでの反響を呼ぶ結果になるとは思わなかった。
「皆さま、落ち着いてください。残念ながらメイドさんの特製ケーキは、本日分は終了しました」
「えーーーーーーっ!?」
「ですが、ホットケーキやフォンダンショコラならまだあります。こちらもわたしの作った特製スイーツで、同じくお勧めですわ」
「じゃあ、俺はそれで!!」
「私も!!」
 妙が他のお勧めスイーツを説明すると、客は一斉に注文をし始めた。
「なんだか凄いことになったな……」
「あら、私はただ本当のことを言っただけですわ。嘘を言うのは、私の性分ではありませんこと」
「じゃあ、なんでいつも妙に突っかかるんだ?」
「そ、それとこれとは別問題ですわ!!」
「でも、妙の作る料理は間違いなく美味しい。私もこんな料理に出会えたことがとても嬉しいぞ」
 いつの間にか、デュタはオムライスとジュースを完食していた。俺はまだ半分も食べていないのに。
「さて、そろそろ私はこれでお暇……」
「ブリジットさま、まだ用事がありますよ」
 立ち上がろうとしたブリジットを妙は制止した。
「何がありますの? 私は貴方たちに用事などありませんわ」
「そんな硬い事言わないでくださいよ。まだメインディッシュがありますわ」
「何よそれ」
「ブリジットさまにもありますわ。ブリジットさま用のメイド服が」
 どこから持ち出したのか、妙はメイド服一式を取り出した。
「ななな、なんで私がメイドの格好なんて!?」
「勿論、学園祭を楽しんでもらうためですわ。ほら、サイズもブリジットさまにピッタリキッカリ合わせていますよ」
 ここに来るとは限らないのに、わざわざブリジットのためにメイド服を用意していたとは。用意周到もいいところである。
「そ、そんなの恥ずかしい服、私が……!!」
 断固拒否しようとするブリジットだったが、世間が許さなかった。
「見たいなあ、東雲様のメイド服姿」
「お願いします、なんでもしますから!!」
「巨乳のメイドもいいけど、貧乳のメイドも悪くないな」
「ぜひ写真を1枚撮らせてくれ!!」
 ケーキの品評で既に盛り上がっていたメイド喫茶だったが、ますます会場はヒートアップ。その勢いは誰にも止められない。
「ブリジットさま、着ますか? 着ませんか?」
 妙はメイド服をブリジットの手に渡す。もうこれで引くわけにはいかないだろう。
「ううう……、分かりましたわ!! 私も着ますわ!! それでよろしいでしてよ!?」
「決まりですね。デュタさまも着ますよね?」
「私もいいのか? 当番の時間じゃないのに?」
「ええ、そちらのほうが盛り上がりますわ」
 妙はニッコリと笑いながらアイコンタクトを取った。
「善は急げですわ」
 そう言うと、3人は部屋の奥へと消えていった。

 それから間もなく、デュタとブリジットはメイド服の姿で現れた。
 妙ほどではないが、十分すぎるくらいに大きなおっぱいにすらっとした姿がメイド服に見事にマッチしたデュタ。
 高貴さ漂わせる赤毛のドリルヘアーと発展途上のバスト、それらの魅力を引き立たせるメイド服を着こなしたブリジット。
 その可愛らしく美しい姿に、客は2人に目線と注目が浴びさせられる。
「どうだ、大和。似合っているか?」
「は、恥ずかしいですわ……」
 大勢の人に見られているも関わらず恥じらいを見せないデュタと、もじもじと恥らうブリジット。両者の反応の違いが、どことなく可愛い。
「さて、あと1時間ですわ。デュタさま、ブリジットさま、頑張りましょう!!」
「ああ、私も妙に負けないように頑張る」
「わ、分かりましたわ」
 元から大繁盛だったメイド喫茶が、2人の参戦により更に大繁盛。多分、今回の学園祭で一番多くの客を集めた出し物かもしれない。
 しかし、何か大切な事を忘れているような気がする。何を忘れたのかは知らないが、本当に本当に大切な事を。
 俯きその忘れてはいけない何かを考える。その答えを出すために。
「あっ」
 俺は視線を床に合わせた時にようやく何かを思い出した。
 視線の先、そこには大きく口を開け、白目を剥き、石像のように微動だにしないまま倒れているそらがいた。

 どうでしたか、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?
 次回は、いつもどおり日曜日更新予定。それでは次回もよろしくということで。

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