現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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時の潮流。
2014-06-29 Sun 19:35

 ようやく9話目が完成!!

 自分の思い描いた世界を作りたい蔵間マリコです。
 ほぼ1ヶ月ぶりに、本編更新しますよ~。貧乏高校生の夏目大和と、ネコ耳宇宙人のデュタ、ミミとミューナとの共同生活を描いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』。
 ついに完成しましたよ、第9話が。4月の中旬あたりから6月の下旬と70日ほどかかりましたが、何とか出来ました。出来に関しては、まあ相変わらずアレかもしれませんが、それでも今持てる限りの力を尽くした気がします。勿論、それに満足することなく、楽しみつつも努力することに励みますが。
 さて、1ヶ月開いたのでちょろっと今までのあらすじを紹介でも。『瀬良リリィの写真部開部のために、親友として協力をしていたネコ耳宇宙人のミューナ・ミュスティール・スコティッシュフォード。しかし、瀬良はネコ耳宇宙人を激しく恨むイヌ耳宇宙人だった。主人公の夏目大和は、険悪な関係から回復するために必死に奔走するが……』というもの。詳しいことは、過去の掲載分を読んでくださいな。
 とまあ、前座はこれぐらいにして、そろそろ本編へと入ります。先でも書いているように、かなり稚拙な内容であることは間違いありません。それでも、感想や心優しいアドバイスをくれると非常にありがたいです。それでは、今回もどうぞ。
                   第9話 雨降って、地固まる(1)

 脱出艇に乗ってから、どのくらい時間が経ったのだろうか。
 3日?
 3週間?
 3ヶ月?
 分からない。
 だけど、ボクは恐怖と孤独感に怯えていた。
 非常灯が壊れて何も見えない、狭くて動くことも出来ない。あるのは、外から伝わる衝撃と振動音だけ。
 生命維持装置は生きているが、いつ壊れるか分からない。隕石にぶつかって、脱出艇そのものが鉄の塊になるかもしれない。救助されずに、永遠と宇宙を彷徨うことになるかもしれない。漂着先が死の惑星かもしれない。死と常に隣り合わせの中、ただただ怯えるしかなかった。
 しかし、一番辛かったのは、お兄ちゃんと2度と出会えないかもしれないこと。
 お兄ちゃんも一緒に逃げてくれのなら、こんな恐怖も孤独もへっちゃらだったかもしれない。
 でも、お兄ちゃんはいない。生きていても、2度と会えないかもしれない。
 それを思うと震えが止まらない、涙が止まらない。
 こんな辛い思いをするくらいなら、お兄ちゃんと一緒に死ねば良かった。それならば、お兄ちゃんと離れ離れになることなんてなかったのに。
 胸が苦しくて苦しくて、おかしくなりそうだった。

 衝撃音が全身に伝わった。
 ボクを乗せた脱出艇はとある惑星に辿り着いた。
『エリアLW第4032惑星、アークに到着しました』
 機械音声のアナウンスが知らせたのは、辺境の惑星。現地の言葉を借りると、地球。
 初めて見た地球の光景は、所々から光の漏れる森の中だった。後に分かったことだったが、ロシア中央部の森林地帯に不時着したらしい。
 そして、森林の風景とともに見たのが、黒い服を着た人たちだった。
「……者を発見……」
「ウル・シ……おと……れる」
「生……微弱……。危険……れる」
「……リア51に……搬送……する」
 手の平サイズの通信機でどこかに連絡をする黒い服の人たち。その表情は、サングラスをかけていて良く分からない。
 とても怖かった。
 右も左も分からない世界で初めて出会ったのが、恐ろしく威圧感のある黒い服を着た大人たち。我々ウル・シュナイドとかなり似ているだけど、どこか違う。とても楽しそうな会話には見えない。 
 逃げたかった。
 でも、ボクはそれを抗う力は残っていなかった。長い間、脱出艇に乗っていたため、体も心も思考も
疲れきっていた。それに死の恐怖からは解放されたという安心感と虚脱感で、動く力など残されていない。もう流れるままでしかなかった。
「もう大……ね。だか……こっちに……」
 サングラスをした黒い服の女性が手を差し伸べる。
 ボクはそれに手を差し伸べた。そして、意識が途絶えた。

 目が覚めると、ボクは休眠カプセルの中にいた。
 余程疲れていたのか、5日間も眠り続けていたらしい。
 黒い服の人たちは悪い人ではなく、脱出艇の発信信号を捉えた人たちだった。
 少なくとも、何か悪いことをする人たちではないことだけは分かった。
 エリア51がどのような場所も教えてくれたし、これからどうなるかも教えてくれた。
 だけど、1つだけ教えてくれないことがあった。
 故郷のシュノークがどうなったのか。
 ママは? パパは? おうちは? おともだちは?
 それにお兄ちゃんは?
 みんないろんなことを知っているのに、誰一人としても教えてくれない。聞こうとすれば、はぐらかすか、別の話の話題にすりかえられてしまう。もしかして、何かを隠しているのだろうか?
 だから、ボクはそれを確かめに行った。
 黒い服を着た男の人の1人から特殊暗号型カードキーを盗み取り、誰もいないことを確認してから資料室に忍び込み、データベースを閲覧した。
 しかし、それは悲劇だった。
『西暦20××年9月13日18時23分、アル・ビシニアンとの戦争の影響により惑星シュノークは大規模な地殻変動が発生。それに伴い、自然災害が連鎖的に発生。シュノークは大混乱に包まれる。同日、7時31分、惑星シュノークは惑星核が異常な温度を発し、爆発消滅。ウル・シュナイド住民は、政府があらかじめ用意していた大型UFOで脱出を試みるものの、脱出に成功したのは全人口のわずか2パーセント。死者は計測不能。残された難民も受け入れ先も決まらず、UFO内での反乱や略奪行為が……』
 ボクは全てを見終える前に、立体幻像(ホロミラージュ)を閉じた。
 難しいことは分からないが、流れる映像と音声で何が起きたのかを悟った。
 ボクは泣いて叫んだ。
 お兄ちゃんと別れた時以上に、泣いて叫んだ。
 ママもパパもおうちもおともだちもシュノークもない。
 勿論、お兄ちゃんも。
 どうしてこんなことになってしまったのだろうか? 何も悪いことをしていないのに。
「そこにいるのは誰ですか?」
 男の人の声に反応し、ボクは振り向いた。
 そこには、逆光を浴びる黒い服の男の人が1人いた。
 猫耳とネコの尻尾と特徴的な頬の線。
 アル・ビシニアン。
 我々の故郷を滅ぼした、あのにっくきアル・ビシニアンだ。
「お前たちのせいだ、お前たちの……!!」
「君はウル・シュナイドか?」
「うわあああああぁっ!!」
 ボクは、どす黒い感情に身を任せてアル・ビシニアンの男に飛びかかった。後先関係なしに。
 ボクの体よりも一回りも二回りも大きいアル・ビシニアンの男は、それを避けなかった。いや、避けようとしなかったのかもしれない。
 ボクの放った体当たりとともに、アル・ビシニアンの男は地面に叩きつけられる。
 マウントポジションを取り、ボクは拳を振りかざす。
 だが、それを実行させてくれなかった。
「そこの君、一体何をしている!!」
 資料室から飛び出したボクとアル・ビシニアンの男を見て、引き離そうとする黒い服の男たち。
 だけど、ボクは意地でも離すつもりなどなかった。こいつにありとあらゆる負の感情をぶつけて、我々と同じ苦しみを味わわせなければならない。パパのためにも、ママのためにも、おともだちのためにも、シュノークのためにも、お兄ちゃんのためにも。
 首筋に冷たく尖ったものが刺しこまれた。そして、冷たい液体が熱い血液に流し込まれた。
 液体が脳に行き渡ると、意識が急激に遠のいた。
 どうして、あのアル・ビシニアンが目の前にいるのに……。
「大丈……すか、ヴァ……」
「え……それよ……この少……手……はや……」
 悔しい、悔しい、悔しい……。

 1ヶ月後。
 ボクはある男に引き取られ、ある場所にしばらく住むことになった。
 よく分からない置き物やキラキラとした飾りがたくさんある大きな大きなお屋敷。そこではエリア51とは違い、とても変わった服を着た人たちが働いていた。
 でも、そんなのどうでも良かった。もう何もかもが虚しかった。
 パパやママやおともだちやお兄ちゃんのいない世界に、何の意味があるのか。生きていても、死んでいるのとまったく同じ。希望も喜びもない灰色の死の世界。
 何もしたくない、何も見たくない、何も聞きたくない、何も食べたくない、息すらもしたくない。
 生きる気力も死ぬ気力もない、ただただ廃人同然の生活。
 もうどうでも良かった。
 そんな中、熱心に関わりを持ってくれた女の子がいた。
 名前は、ブリジット・東雲。この屋敷の一人娘だ。
 歳は同い年か、1つ上ぐらいだろうか。ブリジットはとても変わった髪形をしていて、とにかく態度が大きくて、とても強引。ボクを無理矢理お人形ごっこのように服を着せ替えたり、遊園地を一日貸しきって遊んだりと何かと凄い子だった。
 ボクはとても不思議に思った。
 どうしてここまでボクに構うのか?
 どうしてここまで熱心になれるのか?
 もう何もしたくないというのに。

 それから数ヶ月ほど経っただろうか。
 ブリジットは1週間ほどボクのいる部屋に入ってこなかった。
 やっと諦めたのだろうか?
 いや、ブリジットは諦めていなかった。
 1週間ぶりに出会ったブリジット、その姿はとても意外なものであった。
 ウル・シュナイドの着ているアストロスーツそっくりな服に、作り物のイヌ耳。
 そして、ボクの目の前にまで歩み寄り、

「キャウン、キャウキャウーン」

 とても懐かしく暖かい響き。
 こんにちは、リリィ。
 ブリジットの不慣れなシュノーク語は喋りはぎこちない。それに、イントネーションも少し間違っている。ネイティブなシュノーク語とは程遠く、人によっては通じないかもしれない。
 それでも嬉しかった、涙が止まらないほどに嬉しかった。
 もう2度と聞くことがないと思われたシュノークの言葉を聞くことができた。血の通った温かくて懐かしい言葉を。
 ウル・シュナイドが生まれてから脳内に埋め込まれる特殊チップは、シュノークが滅んでから大半の機能を失ったが、翻訳機能など一部の機能は生きている。だから、地球(アーク)の言葉でも生活することには支障ない。
 だけど、ウル・シュナイド語を話せるものがどれだけいるだろうか? エリア51にいた時も地球(アーク)の言葉が基準であり、ゴタゴタもあってか、ウル・シュナイドの職員は1人として存在しなかった。
 それがこんなところでシュノークの言葉を聴けた。それが、どれだけボクにとって心に染み渡ったことだろうか。嬉しくて嬉しくて涙が出るほどだった。
 死の灰色の世界に明るく眩い光を与えたのは、ブリジットお姉ちゃんにはどんな感謝しても足りない。一生かけてでも恩を返したい。

 地球(アーク)に降り立ってから1年、ボクはある人の養子に出された。
 地球(アーク)人の瀬良晶子(せら あきこ)というおばあさんの家だ。
 瀬良さんは1人暮らしのお婆さんで、瀬良商店という色んなものが売っているお店を開いている。息子と夫がいたらしいけど、30年前に交通事故で亡くしたようだ。おばあさんがボクを養子に迎え入れたのも、そういった境遇が関係しているかもしれない。
 ボクは、知らないお婆さんの家で生活することに酷く戸惑いを覚えた。いきなり今日から「この人が君のお母さんだよ」と言われても、どうしても納得ができない。ボクにはママやパパ、お兄ちゃんだっていた。いや、今でもこの世界のどこかにいると信じたい。だから、ボクは瀬良という名前も瀬良さんの子になることに抵抗があった。
 だけど、それと同時に親身になってくれる瀬良さんの気持ちを無駄にすることは出来なかった。ブリジットがボクのために尽くしてくれたように、この人も尽くしている。いずれは、受け入れないといけない。幼心のボクにもそれは分かっていた。
 ボクは、どうすればいいのか分からなかった。どうしても距離を縮めることができない。それは瀬良さんも同じで、夜な夜な泣いているところを見かけた。とても申し訳ない気持ちになった。
 そんなある日、瀬良さんはボクにあるものを見せた。
 瀬良さんが持つには、不釣合いなサイズのいかつい黒い機械の塊。
 ボクには、これが何なのか予想などつかなかった。ウル・シュナイドに、こんな道具などなかったからだ。
「リリィ~、こっちを向いて~」
 ボクは瀬良さんの言われるがままに、ゆっくりと振り向いた。
 突如、見たこともない眩い光が視界を襲った。
「きゃうんっ!?」
 ボクは思わず叫び、畳に頭を打った。
「ご、ごめんなさい、リリィ。怪我はない?」
 特に痛くはない、柔らかい畳の上だから。瀬良さんの心遣いは少し嬉しかった。
 同時にボクの興味は黒い機械の塊にも示していた。
 ピカッと光る謎の機構、そして黒い機械の塊から現れた1枚のシート。
 そのシートには、ボクが驚き倒れた瞬間がぼやけながらも明確に記録されていた。
 ボクは、そのシートが一体何かを聞いた。自発的に瀬良さんに言葉をかけることは1日に1回か2回程度しかないが、生活に必要なこと意外で聞いたのはこれが間違いなく初めて。
 瀬良さんは、この黒い機械の塊を『カメラ』と教えてくれた。
 カメラというものは、その場の風景を写真という形にして残す道具である。我々ウル・シュナイドではそのような文化などなく、日々常々の行動をデータ化した保存し、好きな時間に好きな時間の思い出を見る。それが当たり前の世界であるウル・シュナイドの文明から比較すると非効率的なもの
であることには確か。
 だけど、ボクには、そのカメラと写真がとても愛おしかった。ウル・シュナイドの文明がいかに優れていても、もう2度と思い出が戻るわけではないし、その機能を使うことは2度と出来ない。ボクの心の中にしか残っていない。これからは、故郷から遠く離れたこの地球(アーク)で生きていかなければいけない。
 だからこそカメラと写真は、ボクの心の支えとなってくれた。これからの思い出は、このカメラで撮って、写真に残せばいい。動かないし、喋りもしないけど、そこに確かな形として残っている。
「……お母さん」
「リリィ!!」
 ボクは、このカメラと写真との出会いに感謝し、新しい思い出に感謝し、お母さんにいくら感謝しても足りないぐらいに感謝をした。
 ありがとう、お母さん。

 それからボクは、数え切れないほどの思い出を作った。
 とても緊張した地球(アーク)の子と一緒の入学式。
 小学校初日に友達になってくれた、アキっちとみどりん。
 綺麗な小川で水浴びをしたり、3人で弁当やお菓子を交換した遠足。
 みんなで汗をかいて、一生懸命頑張った運動会。
 ウル・シュナイドの時みたいに楽しかった雪合戦。
 少し嬉しくて、少し切なかった小学校の卒業式。
 ブリジットお姉ちゃんのパパが経営している、私立東雲学園への進学。
 クラスのみんなで協力した初めての学園祭。
 中間テストに向けての友達と一緒に頑張った勉強会。
 ブリジットお姉ちゃんの別荘での、常夏のバカンス。
 初めて挑戦して受賞した写真コンクール。
 嫌なことも悲しいこともたくさんあったけど、そういうのも含めてボクにとって、素晴らしい思い出の一つだった。
 ただ、心の片隅に寂しさも覚えていた。
 新しい家族も友達もいる、だけどウル・シュナイドの親友は誰もいない。いや、ウル・シュナイドでなくてもいい、自分と同じように宇宙人の親友が誰かほしい。これが欲であることは分かっているし、無いもの強請(ねだ)りだと分かっているけど、それでも自分に近い存在が身近にいてほしいとボクは望んでいた。
 その願いは、ボクが高校1年生になった時に叶った。
 東雲町に不時着した1機のUFO。
 事情は分からないけど、その子は地球(アーク)に亡命したようだ。歳はボクと同い年。とても期待していた。もしかしたら、親友になれるかもしれない。いや、親友になれなくてもいい、せめて接触をしたい。ボクは興奮のあまりなかなか寝付けなかった。
 でも、その子が私立東雲学園の高校1年生として転入した時、どうアプローチをすればいいのか分からなかった。恥ずかしいというのもあったし、夢が壊れるかもしれないという恐れもあった。
 そんな中、時を同じくして進めていた写真部の開部を申請で一悶着があった。相手は、あの頑固で嫌われ者で有名な体育教師の豊田。
 ボクは開部の活動申請書を何度も出していたが、その度に突っぱねられていた。写真部が今まで無かったから、ボク自身が開部しようとした。ただそれだけなのに。
 それを助けてくれたのが、ミミィだった。
 たまたま遭遇したというだけなのに、あそこまで優しくしてくれた。こちらから言葉をかけないといけないはずなのに、ミミィが道を作ってくれた。こんなにありがたくて、少し恥ずかしいことは本当に久しぶりだった。
 それなのに、ボクはミミィを殴ってしまった。
 確かにアル・ビシニアンはボクにとって、我々にとって許しがたい存在であることは間違いない。その憎悪は心の奥深くで燻っていたのも間違いない。綺麗事などで済まされる問題ではない。ボクの、我々の大切な物を全て奪った相手に違いないから。
 だけど、それが大きな過ちであることに気付くのはそれほど時間はかからなかった。感情が先走り、思考が停止していたけど、落ち着くにつれてとても愚かでとても最低なことをしてしまったのだと後悔している。アル・ビシニアンであっても、ボクの大切な友達。自分が望んだはずの宇宙人の友達だというのに。
 憎悪と後悔が拮抗し、ボクはどうすればいいのか分からなかった。
 ミミィが一生懸命作ったポスターをゴミ箱に捨て、ブリジットお姉ちゃんたちにも反抗し、ミミィの姉にも暴力を振るってしまった。
 ボクでもこんなに酷いことになってしまうなんて思っていなった。本当なら謝らなければいけないのに、ここまで拗れてしまうなんて。いつもなら謝れるけど、とても謝れそうもない。ミミィに合わせる顔がない。
 出口の見えない迷路、自力で脱出するのが難しいほどにボクは自己嫌悪に陥ってしまった。このままどこかに遠くへ消えたら楽になれるだろうかと思うほどだった。
 でも、助けられた。公園で出会った、ミミという幼い少女に。
 ミミは、ボクの事情など知るわけがないし、それが何の意味にもならない。いや、巻き込むことそのものが問題だ。
 でも、ミミと無垢な感情で遊んでほしいと頼んだ。最初こそは戸惑いを感じたけど、ミミと遊んでいるうちに心の迷いが消えていき、謝る決心がつき始めた。もうアル・ビシニアンとかウル・シュナイドなんて関係ない、今やるべきことはミミィに謝ること。ただそれだけだ。
 ボクは、ミミの自宅まで連れて行くついでに、自転車で……。
「おい……」
「にゃ……」
 このあと、どうしたんだっけ?
 ボクは、ミミィの住むマンションに行ったはずだけど……。
「……ろってば」
「うにゃあ……」
 確か、旧道の坂を時速50kmで降って、そのまま……。
「今すぐ、起きろってば!! 瀬良リリィ!!」
「りりぃ!!」
 頭に響き渡るような怒声が伝わった。
「ん……」
 突然、ボクの見ていた世界は終わりを迎えた。
 代わりにおぼろげながら見えた世界は、懐かしい顔だった。
「お、おにい……ちゃん……?」

 どうでしたか、今回の彼女たちの極秘事項(トップシークレット)は?
 今回は第9話最初のパートですが、瀬良リリィの回想からスタート。いわゆるネタバレの部分ですが、こういうのを書いている時って、俄然やる気が出ますねえ。物語の設定部分であるところを思いっきり出すことが出来るのですから。自分って、考えている時が一番楽しく感じるんだなあとつくづく思います。
 当然ながら、今回一番力を入れた部分はリリィの回想と心情変化。全体的に暗い内容ですけど、心神喪失状態のリリィが今に至るまでの出会いと成長、そういったものを明確に描けるように注意しました。特にブリジット・東雲とリリィの義理の母親との出会いは他の場面以上に力を入れた気がします。他のキャラも重要ですけど、やはり瀬良にとってのウェイトが大きいのはこの2人と、ミューナですからね。ここで力をいれずしてどうする?
 しかし、第9話は序破急の急にあたる部分だから、1つのパートでも長い長い。第9話は今までで一番長い全89ページ。今回載せたのだけでも、15ページ相当のものですからね。ここから当面先は、かなりの量になりそうです。まあ、その分、消費も早くなるというわけですが。だから、急いで書かなければ!!

 なかなか大変だけど、楽しく書いているオリジナルのSFファンタジーライトノベル。
 さて、次回は日曜日に更新予定。一体、リリィの身に何があったのだろうか?そして、どうして大和とミミが目の前にいたのだろうか?それは来週のお楽しみ。

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