現在連載中の『極黒のブリュンヒルデ』をはじめ、デビュー作の『エルフェンリート』、スキージャンプ漫画『ノノノノ』、そして大問題作『君は淫らな僕の女王』(原作)などの岡本倫先生の作品の感想や考察を書いています。他にも、日常の出来事や漫画・アニメ・ゲームの感想、ライトノベルの執筆をしております。どうぞごゆっくり見てください。
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宇宙の真理。
2013-07-21 Sun 19:51

 今日はかなり長いです。

 何にしろ、物を作るというのは大変なものだと思う蔵間マリコです。
 さ~てと、日曜日と言う事ですので更新しますよ。貧乏高校生とネコ耳宇宙人二人と共同生活を描いたオリジナルのSFファンタジーライトノベル『彼女たちの極秘事項(トップシークレット)』を。
 毎週毎週更新しているこのコーナーですが、これが結構大変なもんなんですよね。絵を描いていた時は、月に2回程度の更新で済んでいましたが、ライトノベルはそれだといつまで経っても話が進まない。現に、一時期そんな状態でありましたし。ですから、毎週更新するというのはかなり体力を使うものだ。
 しかし、それだからこそやりがいも楽しさもあるし、一区切りついた時の達成感はたまらないもの。お世辞にもうまいとは言い難いですが、自分にも出来ることがあるというのが非常に嬉しいですからね。ホント、書いている時と完成した時の高揚感は何とも言えませんよ。
 と、少し話が長くなってしまいました。そろそろ本題に入りたいと思います。例によって、誤字・脱字があるかもしれませんし、おかしな部分があるかもしれません。特に、今回は今までよりも遥かに長い内容となっています。ですので、ちゃんとチェックしたつもりでもミスが多い可能性があります。ですので、感想とともに報告をしてくれると非常にありがたいです。
 それでは、今回もどうぞ。
             第3話 第四種接近遭遇(フォース・カインド)(6)

 光。
 暗く深く重たく寒い闇の世界に、一条の光が漏れこむ。
 思わず、それに向かって手を伸ばす。
 軽い。鉛のように重かった体が、まるで本来の体重を感じさせないくらいに軽い。それどころか、その光に向かって浮いているようにも思える。
 いや、不思議な現象はそれだけでなかった。
 体中の傷が一つなく、疲れすら感じさせない。
 冷たかった体にぬくもりが伝わる。失われていた力が戻っていく。
 更に手を伸ばすと、光がだんだんと大きくなってきた。
「き………か……せ……」
 光の先から、声のようなものが聞こえてきた。
 くぐもってしっかりとは聞こえないが、どこかで聞いたことのある声だ。
 そこに行けば、答えが出会えるはず。
 もう少しだ、もう少し……・。
 ああ、光の先に……。

「うぷっ!!」
 光の先にあったものは、緑色一面の部屋。
 いや、その解答は厳密には正しくない。緑色の液体の中にいたから、視界が緑色に見えたのだ。
 意識が戻っていきなりの理解不能な状況に、俺は思考の整理がつかない。外にいたはずなのに、どうしてこんな妙なところにいる?
 とにかく、ここから脱出しないと溺れ……。
「っつぅ――――――――っ!!」
 何かが頭にぶつかった。視界が緑色でハッキリと確認は出来ないが、ガラス張りのような天井となっている。そして、両側も手を伸ばす広さが無いほどに狭い。
 必死にガラスの天井を叩くが、うんともすんともしない。俺はこの空間に閉じ込められてしまったのか? ホルマリン漬けの動物のように、液体の中で一生を過ごさないといけないのか?
「聞こえるか、青年?」
 どこかで聞いた声が液体内にエコーした。声の主は、視界にはいない。
「ぶぐぶくぶぐぶくくく!!」
「そうか、大丈夫か」
 何が大丈夫だ!? このままだと溺れ死んでしまうじゃないか!?
「ああ、出るのなら右にある大きなパネルを押してくれ。あと、RFPC(治癒機能促進培養液)の中では窒息しないし、喋れるから安心しろ」
「あぶぶぶぶ、本当かよ!!」
 本当だ、液体の中なのに何故か喋れた。それにどうしてか苦しくない。少なくとも、ここに閉じ込めているわけではないようだ。
「こ、これか?」
 声の主の言うとおりに、右側にある大きなパネルを指先で触れた。
 すると、本当に天井が無くなったではないか。これで、やっと外に出られる。
 俺はゆらりと立ち上がり、緑色の液体を掻い潜り抜け出した場所、それは予想だにしない世界だった。
 地面も壁も天井も真っ白なタイルで構成された部屋。
 俺が入っていた何かの装置が二つ、それ以外には何も無い。出口すらも。また閉じ込められてしまったのだろうか?
「目が覚めたか」
 突然、タイルの一部分が元から無かったかのように消失した。自動ドアなどではない、まるで手品で消えたようにだ。
 そのタイルの向こうから、眩い光が差し込む。そして、その光の中から2つの人型が現れる。
 この部屋は見たことないが、あの2つの人型は見たことがある。いや、1つは微妙に違った。
 1人は、ピンク色のツーサイドアップヘアーにボディースーツを着こなした小柄なネコ耳の少女。
 もう1人は、水色のショートヘアーに黒い背広のネコ耳の少年。
 そう、ミミとデュタである。
「どうだ、まる1日ほど寝た気分は?」
「気分はいいが、ここはどこなんだ? それに、どうしてお前がネコ耳なんかを生やしている? あと、俺の服はないか? このままでは恥ずかしいぞ」
 目が覚めてすぐに気が付いたことなのだが、いつの間にか裸にされてしまっていた。とてもではないが、このまま話すのはどうかしている。
「恥ずかしいのか? 別に私は構わないが」
「そ、そういう問題じゃない!!」
「仕方ないな」
 デュタは、壁のタイルの一つを軽く触れる。
 すると、何も無い空間から服一式と真っ白な仕切りが出現。壁に使われているものと同じものが。
「い、一体何をしたんだ!? 俺は夢でも見ているのか?」
「ふっふっふっ、どうじゃ。お前たちにはそのような技術はなかろう」
 まるで猫のように甲高い声。どこかで聞いたことがあるが……。
「も、もしかして、ミミか? なんで喋れるんだ!!」
「ミミではない!! 妾は、アル・ビシニアンのお……、ミューナ・ミスティール・スコティッシイという立派な名前があるのじゃ!!」
 仕切り越しで顔こそ見えないが、激昂した表情が容易に想像できる。
「やっぱり、ミミじゃないか? ミミとどう違うんだ?」
「だーかーら!! 妾はミューナ・ミスティール……」
「二人とも落ち着いてくれ。私が後で説明する」
 デュタが仲介役の入ってくれたおかげで、口論が早い段階で終わってくれた。もし、デュタが割り込まなかったら、こんな馬鹿なやり取りが長々と続いていたかもしれない。
 それにしても、不思議なものだ。服を着るにも濡れていたら困るはずなのに、いつの間にか乾いている。液体の中にいても呼吸が出来るし。
 それに対して、服はあの時のままボロボロか。あの出来事は夢でも幻でも何でもない。あの死闘は、間違いなく現実だ。それでいながら、疲れも傷一つない体に戻っているというのも不思議な話だ。考えれば考えるほど理解しがたい。
「着替えたぞ。外してくれないか?」
 俺がそう言うと、「ああ」というデュタの声とともに、真っ白な仕切りが消えてなくなった。
「すまない青年、替えの服が無くて」
「いや、いいんだ。それよりも聞きたいことがある」
「答えられる限りなら、答える」
 正直、聞きたいことがあまりにも多すぎた。ミミから出会ってから、今に至るまで不可思議な現象の連続だった。なかなか意見がまとまりそうもない。だが、最初に聞きたいことは決まっていた。
「お前たちは一体何者なんだ? ネコ耳やネコの尻尾といい、このオーバーテクノロジーといい。俺には分からない、理解できない」
 まず、これを聞かなければ納得がいかなかった。
「我々は何者か?」
「我々? そうだ」
 俺が相槌を打つと、ミミとデュタはワンテンポ置いて、
「我々は――、アル・ビシニアンという種族じゃ」
「地球(セラン)人、地球(ちきゅう)の言葉を借りるなら――、我々は宇宙人なり」
 二人は神妙に答えた。
「アル・ビシニアン……、宇宙人……?」
 そらが言っていた、アル・ビシニアンに宇宙人。その二つのキーワードが、ミミとデュタの口から出た。一体どういう事になっているんだ?
 だが、俺はそのような非現実的な概念を必死に振り飛ばそうとする。その考えがおかしいということは分かっていても、それを認めるわけにはいかない。
「いや、冗談で言っているんだろ? このネコ耳だって、ネコの尻尾だって、どっかのコスプレグッズショップで買ったものだろ? それに、このよく分からない仕掛けの数々。これも、東雲家電の試作品かなんかだろ? きっとそうだ」
「お主の目には、そのように見えるのか? 妾がこのような冗談を言うと思うてか?」
 ミミの言葉には淀みといったものを全く感じさせない。紛れもなく本気だ。
「いやまあ、そうには思えないが……。だけど、こっちも状況を飲み込めないんだよ。いきなり宇宙人って言われてもさ。俺の知っている宇宙人のイメージとも大きくかけ離れている。普通は、足が8本の蛸みたいな生物か、体が黒くてヌルヌルしてて、頭から喰らいついたり、卵を体内に寄生させて腹をぶち破る化け物というのが宇宙人の相場なんだよ。それが、人間に近い見た目をしているんだからカルチャーショックを受けるに決まっているだろ。とても信用できるわけがない」
「一体何を言っているんだ? 青年」
 別に俺に限らなくても、それは大半の人間が同じような状況下に置かれたら、似たような台詞を言うかもしれない。まあ、そらのような宇宙人マニアはその限りではないだろうが。
「だったら、あの河川敷のミステリーサークルはなんだ? アレはただび悪戯なんじゃないのか?」
「ミステリーサークル? スペースサインの事か? あれは囮だ。小型宙域航行船で着陸する時、どうしても目立ってしまう。だから、着陸時に囮を作ることによって、一般人の目を引きつけながら、安全な着陸を確保が出来るんだ。もっとも、アイツらにそこを付け込まれてしまったが」
 更なる新事実が明らかに。『ミステリーサークルは、UFOを隠すための囮である』と。人々が追い求めて、いつまでも分からなかった謎がこうもあっさりと解明されるなんて。科学者連中は、これを聞いたらどう思うのだろうか?
「宇宙人だの、UFOだのねえ……。どうも実感が沸かん」
 俺は思わず頭を掻く。ほんの少し前までビショビショだったのに、今ではドライヤーをかけ終えたかのようになっている。
「お主の言うことも分かるぞ。今の地球(セラン)では、我々のような本物の宇宙人を知ってる地球人はほんの一握りじゃからな」
「今の?」
 ミミは、何も無い空間にタイピングをするような動作を取った。すると、部屋の中央に立体的な映像がノイズとともに現れる。宇宙人と自称する2人は、どれだけのサプライズを隠し持っているのだろうか?
 その映像から流れるのは、砂漠の光景と大勢の人、そして大勢の猫。人が着ているものからして、相当昔のものらしいが、これがどう関係あるんだ?
「数千年前、我々、いや多種数の宇宙種族と地球(セラン)人は友好的に異文化交流を行っていたのじゃ。エジプトやエリア51をはじめとした特定の地域で、我々をはじめとした多くの宇宙種族が、人間に知恵と技術を与えたのじゃ。スフィンクスやバステト、招き猫などといったものは我々に感謝を表明したモニュメントや象徴を残したのじゃ」
 次々と流れる、人間とアル・ビシニアンの歴史。中には歴史の教科書などで習ったものや身近に関係するものも。ていうか、招き猫も宇宙人と関係があるのか!!
「代わりに地球人は、我々の先祖に地球(セラン)人の塩基配列のデータや体細胞などを提供してくれたのじゃ。その頃の我々は、映像の通り地球に住む猫と変わらぬ姿でな。それだと宇宙での活動などに難があるからのう。だから、それに適した姿、すなわち人間だったというわけじゃ」
 SF映画に出るようなガラスの筒の中で、人間の姿へと進化を遂げる猫たち。だから、数十年前に流行ったアニメや漫画のようなネコ耳とネコの尻尾をしていたというわけか。
「だけど、実際の宇宙人を存在を知っている人間が少ないのはどういうことだ? 友好的な関係ならば、今でも交流していればよかったじゃないか」
「それは、2000年以上前に出来た、銀河間における多種族に対する不可侵条約というものが理由なのじゃ。今でも大なり小なりの種族間戦争があるが、当時は非常に多かったのじゃ。それも宇宙に存在する種族の30パーセントを滅ぼすほどの大戦争」
 立体的な映像から流れる爆発する星や宇宙。見た感じでは、ゲームやアニメの1シーンにも思えるが、同時に妙な説得力がある。
「で、そこで生まれたのが不可侵条約じゃ。各種族のトップたちは、数十年の歳月をかけて作ったルール。それ以来、一部の者を除いて、我々アル・ビシニアンを含めた多くの宇宙種族は交流していた星から離れ、結果、交流機会が激減したのじゃ。まあ、その不可侵条約も実質形骸化しておるがの」
 いかにも偉そうなネコ耳宇宙人がの映像が流れ終えた後、再び何も無い空間へと戻った。人間と猫と宇宙人、そしてアル・ビシニアンにそのような歴史があったとは。今までの経緯を含めて、ネコ耳宇宙人たちの話を信用せざる得ない。
「分かったろ? 風化された歴史の存在であるアル・ビシニアンが、公で正体が明らかになったら問題が起きることがの」
 個人で見つかったのなら、ただの勘違いなど済むであろう。しかし、これが大勢の人間に見られたらどうなる? パニックになることは間違いない。ミューナの言うとおりだ。
「とりあえず、お前たちが宇宙人であることは一応分かった。だが、アル・ビシニアンが地球に何の用だ? 家畜の血でも抜くのか? まさか侵略行為とか言うなよ」
 デュタとミミの地球に降り立った理由、それが2番目に気になる事だった。
「我々2人は、この地球(セラン)に亡命しに来たんだ」
「亡命?」
 デュタの語った理由が意外すぎた。俺と武士が予想したものとは全く別物だったから。
「我々アル・ビシニアンの間では、今、お家騒動が起きている」
「お家騒動?」
「いわゆる後継者問題。ミューナは、我々アル・ビシニアンの有力者一族の一人娘でな。ただ、色々といざこざが合って……。それで、我々2人はアル・ビシニアンから逃げてきたのだ。私が逃げてきたのは、ミューナとミミの側近役だと思えばいい」
 デュタは、ほんの僅かだが声域が低くなる。それが余程の物だったのかもしれない。しかし……、
「それって、とてもマズイことなのでは? あと、どうしてミミとはぐれた?」
「何度言えば分かる、うつけ者!! 妾はミューナじゃ!! ミミは、もう1人の妾じゃ!!」
「いや、言っていることが意味不明なんですけど……」
 ミミとは別に、もう1人のミミがいる? ミミが二重人格とかならともかく、背格好まで変わる二重人格なんて聞いたことが無いぞ?
「それのことか。我々アル・ビシニアンの間で、極々稀にだが見かけられる先天的な特殊体質だ。2週間前後で、身体年齢と記憶と人格が入れ変わるというものだ。まあ、環境やストレスによって、それは大きく影響するが。周期からまだ1週間ほど猶予があったと思ったのだが、地球ではそこまで長く持たないとは。あの時、もう1つの立体幻像(ホロミラージュ)を見せて置けばよかった」
「はぁ……」
 よくは分からないが、ミミとミューナは特異体質だと考えたらいいというわけか。
「そういうわけじゃ。理解したかの?」
 ふん、と鼻を鳴らして腕を組むミューナ。間違ったのは悪かったが、なんかムカつく。
「まあ、それは分かった。では、ミューナとはぐれた理由ってなんなんだ?」
「亡命だと思わせないための工作だ」
「工作行為とは?」
「まず、ミューナを救命用ボートに乗せて、地球へ送る。その後、ミューナを追う形で私が今乗っている小型宙域航行船で地球に降り立つ。これが本来の計画であるはずだった」
 詳しい状況は分からないが、傍から見てもあまりにも無謀すぎる。それだけにデュタたちは切羽詰まった状況だったのかもしれない。
「だった、ということは何か問題でもあったのか?」
「ああ。タイミング悪く、敵性宇宙人にアル・ビシニアンを襲撃されてな。コンピューター絡みのものもやられたりして、ミューナを追うのに1日ほど遅れてしまった。ミューナの言語が翻訳されていなかったのも耳も尻尾も隠せなかったのもアストロスーツを着ていなかったのもその影響だ」
 だから、あのような姿のまま発見されたのか。デュタの言っていることが本当ならばの話だが。
「そう言えば、救命ボートは?」
「隕石だ。プログラムで隕石に偽装して、地球に送った。お前たちの星で隕石のニュースをしていたのは、それのことだ。今は、自然に還っているはずだ。プログラム異常の関係で、海に落ちてしまったのは不幸だが」
「あの時は、妾も驚いたの。突然、救命ボートの中に水が入ってきて、脱出するのやっとじゃ。しかも、そ
の後、妾の体はミミのものとなって……」
 謎が一つ解明。こんな真相があったとは思わなかった。
「じゃあ、あの3人組はアル・ビシニアンからの追手みたいなものか?」
 今、思い出しても怒りの炎が燃え上がるあの三人組。下手をすれば、命を落としかねなかった騒乱、もし会う機会があれば、一発どころか数発は殴らないと気が済まない。そんな奴らが、デュタたちとどう関係しているんだ?
「半分くらい正解。アル・ビシニアンから直接派遣されたのではなく、エリア51に赴任しているアル・ビシニアンだ。恐らく、アル・ビシニアンからの命令を受けたのだろう」
 さっきも言っていたが、そらがたまにそんなことを話していたな、エリア51なんてことを。アメリカにある宇宙人とゆかりの深い場所とかって。俺は宇宙人マニアじゃないから詳しいことは知らないが、本当に関係があったとは。
「これが我々が地球(セラン)に逃げた経緯だ」
「全く、とんでもなく壮大な家出だな」
「ははは、そうかもしれない」
 デュタは笑って誤魔化しているが、こっちはとんでもない災難に巻き込まれてしまったものだ。
「他に聞きたいことはあるか?」
「これぐらい……、いや、まだあった」
「何だ?」
「お前たちはこれからどうするんだ? ここにでも住むつもりか?」
「いや、それは危険だ。いくらミステリーサークルを囮にして、不可視状態にしていても、人に見つかる可能性がある。それに、片道分のエネルギーしか充電していないから、使いすぎると不可視状態が解除される。だから、別の場所で暮らすつもりだ」
「別の場所って、何か宛か頼りになる人でもあるのか?」
「ない」
 シンプルかつ分かりやすい回答だった。
「ないって、おい……。無謀すぎるぞ」
「無謀というのは分かっている。だが、アル・ビシニアンからの追手は当面来ない。だから、どこかひっそりと暮らせる場所をゆっくりと探す。その間は、野宿でも何でもする」
 無謀の上に、更なる無謀。やっていることは大事なのに、無計画すぎるぞ。この宇宙人は……。
「嫌じゃ、嫌じゃ!! 妾は、あったかい場所で寝たいのじゃ!!」
 歳不相応に駄々を捏ねるミューナ。その姿は。5歳児がデパートの玩具コーナーで地団駄を踏む子供のようだ。俺でも野宿は勘弁だが。
「ミューナ、我儘を言うな。あまり贅沢は言えないんだ。食料は充分にあるから、しばらく我慢してくれ」
「うにゃ……」
 デュタの言葉にふてぶてしくも沈黙するミューナ。あの様子だと、普段から我儘なミューナの主導権を握っているのかもしれない。
「色々迷惑をかけてすまなかったな、青年。ミューナとミミを助けてくれありがとう。それとこれだ」
 デュタは左ポケットからゴソゴソと取り出した。一昨日、デュタに渡した100均のハンカチだ。
「あの時は返すのを忘れていたが、貸してくれてありがとう」
「デュタ……」
 ハンカチを返してもらうことなど、別に他愛もないことだ。だが、俺は何故だか感傷的になっていた。ネコ耳宇宙人2人が言わなくても分かっている。間もなく二人との別れの時を迎えるのだから。
 色々と面倒だったこともあるし、下手をすれば命だって危なかった。それでも、俺にとってはこれほどに不思議で貴重な経験は今まで体験したことが無い。厄介ごとは勘弁だが、せめて関わりを持ちたい。どうにか2人を留める方法があれば……。
「我々が入ってきた場所を触れれば、小型宙域航行船からの出口がある。そこをまっすぐ歩けば、開いたところに出れるはずだ。ただ、口外だけはしないでくれ。私たちも私たちで事情がある」
 言うしかない。このタイミングを逸すれば、留めることは出来ない。最後のチャンスだ。
「な……なぁ、デュタ。こ、こういうのはどうだ?」
「なんだ?」
「なんじゃ?」
 俺はぎこちなく、デュタとミューナに対してある提案を聞き質す。
「しばらく……、俺の家に泊まるってのはどうだ?」
「「ええっ!!」」
 デュタとミューナは仰天した。
「いや、それが危険なことは分かる。不可侵条約というのもある。昨日ののような連中が、また襲ってくるかもしれない。だけどなあ、ここまで関わっていておきながら、野宿させるなんて可哀想だろ」
 ハッキリ言って、心の準備なんて全くしていなかった。完全に勢いに任せて言っただけの事だ。でも、みすみす放っておくのも気が引ける。なら、せめて自分に出来ることぐらいは。
「ここに比べたら、六畳一間だから狭いし、ボロっちぃ。だけど、雨露は凌げるし、飯だってある」
「青年、どうして我々のことを……」
「どうだ? 俺はどっちでも構わないが」
 俺には強制する権利はない。あるのは、2人に選択権を与えるだけだ。
「賛成じゃ!! 妾は温かい場所がいいのじゃ!! 温かい場所が!!」
 鳩を散らすようにわーわーとさめくミューナ。こいつには聞かなければ良かった。
「何でそこまで……」
「だから言ったろ。行く宛もないやつを無視するわけにはいかないだろ」
「青年……」
 デュタの青い瞳は潤んでいた。
「ああもう、ハンカチやるよ。だから、泣くのは止めろ」
 俺は再びデュタに100円均一のハンカチを渡した。まったく、男の癖にすぐ泣くなよ。
「すまないな、青年。我々は、その厚意に甘えさせてもらう」
 目元を濡らしながら満面の笑みで返答するデュタ。
「あと、青年っていうのは止めてくれないか。俺には夏目大和という名前があるんだからさ」
 とは言っても、人のことは言えない。ミューナの事をミミと呼んでいたのだから。
「ナツメヤマト……、夏目大和か。これからは夏目と呼ばせてもらおう」
「ああ」
「それと紹介するのを忘れていた。私の名前は、地球人の呼び方で言うとデュトナ・サイベリアスだ。
デュトナでも良いし、君やミューナが言うデュタでも構わない」
「短い間かもしれないが、よろしくな。デュタ」
 俺は右手をデュタの前に出した。
「手を差し出して、一体なんだ?」
 デュタはポカンとした表情だった。
「おいおい何って……、いや、仕方ないか。デュタ、お前もこうやって手を差し伸べるんだよ。そして、こうやって握る……、いててて、力を入れすぎだってば」
「だって、握るって言ったから……」
「力加減を考えろよ、まったく」
 俺は強く握られ、跡が出来た右手をさする。小屋を破壊するだけの握力がある腕で強く握るなよ。回復したのに複雑骨折をしたらどうするんだ。
「もう1回だ。デュタ、よろしくな」
「こちらこそよろしく。夏目」
「ヤマト、妾も世話になるぞ」
 微妙におかしなミューナのイントネーションだが、心からの挨拶であることには変わりない。
 互いに手を握り、笑顔と笑顔を合わせる。
 これが俺とデュタ、そしてミューナとミミの短いながらもの異文化交流の始まりだった。

 どうでしたか、彼女たちの極秘事項(トップシークレット)連載第27回は?
 今回は非常に長いので、書くのにも体力が要しましたし、チェックするのにも相当苦労しました。単純に文章の出来とかSF的要素などなど……。もう気遣う所が多くて……。
 中でも、デュタとミューナが大和の部屋に居候する理由付けが大変で大変で……。勿論、このライトノベルを書く前から決めいていたんですけど、どうも理由としては若干弱いというか、今一つ面白くないというか……。大まか流れを書いていた時は、「これ上手くいくんじゃね?」とは感じていたのですが……。う~ん、ギャップの差を埋めるように頑張らねば。

 面白いけど、なかなか大変なオリジナルのライトノベル。
 毎回毎回長くなっていますが、第3話もあと2回で終了。現状書いている方もあと1・2日で4話目が終了という所です。共同生活させることを決めた大和、そして世話になるネコ耳宇宙人二人。これから先、どうなることか?来週も温かく見守ってください。

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